サティシュ・クマールの今秋の招聘を企画されている方から、
ヘレナ・ノーバーグ・ホッジさんのインタビュー記事が、
ネットで今日から公開されるとの情報を頂きました。
私が留学していたころ、ヘレナは学校のすぐ近くに住んでいて、
頻繁に学校に来られていました。
学校でスピーチをするときもありましたし、
夕方に散歩がてら、ご主人とともに遊びに来られる時もありました。
もともとはジャーナリストだけあって知的好奇心は強く、
「知恵の樹」(左のお奨め本参照)の共同執筆者であり、
その後、認識論や哲学の分野で世界的に注目を浴びていた、
故フランシスコ・ヴァレーラが来て講演したときも、
大勢の聴衆の中で、後方の席から大きな声でヴァレーラに質問していた姿が忘れられません。
ヘレナと言えば思いだす6月のイギリス。
さわやかな風がそよぎ、やさしい日差しが溢れる最高の日でした。
当時、ハーバード大学で教え、アメリカの大量消費社会の問題を研究し、The Overworked American やThe Overspent Americanなどのベストセラーを出していたJuliet Schorと、自給自足的な共同体や地域循環型経済、地域通貨の研究で知られるRichard Douswaitとが講義するコースに参加していた人々が、
学校の前に広がる芝生の庭にはえていた大きな木の下に集まり、
ヘレナを囲むように輪になって彼女の話を聞きました。
彼女の得意の話は、チベットのラダッカの話です。
豊かな伝統文化と社会制度があったラダッカに、西洋文化が浸透していくにつれ、その真の豊かさが失われていきました。その過程を見ていたヘレナは、私たちの現代社会が享受した物質的な豊かさの裏側に、その量と同じくらい負の部分があったことに気づかされました。
そのことが詳しく書いてあるヘレナの代表作Ancient Futureの本は、「懐かしい未来」と言うタイトルで、懐かしい未来ネットワークと言うグループの方々が翻訳され、出版されています。
この本を読んでも、次の社会のための具体的な方策は書いてありません。しかし、これまでの社会では、具体例を用いて、官庁主導の全国画一的な取り組みが目立ちましたが、これからは、それぞれの地域の人がその地域に相応しい方策を、自らの智恵を絞って考えることになるでしょう。従って、具体例よりは、考えるときに指針となる、哲学ないしは、考慮しなければならないポイントのほうが重要となるはずです。この本にはそれが含まれています。
これからの社会を形作っていかれる方の全てに読んでいただきたい一冊です。世界中で読まれていることからしても、現代の必読書の一冊でしょう。
翻訳本は、とても丁寧に訳されており、脚注も充実しています。
翻訳に関わられた方々には、本当に感謝です。
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