【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その6

競争から協調へ

これまでの社会では、
自然界は弱肉強食の世界であり、
生存競争が基本となっていると、
教えられてきました。

しかし、それは、
自然界の表層を見ただけであり、
奥深い、その基本となっているところが、
見えていないために、
そのような認識をしてしまっている、
のではないでしょうか。

自然界では、
お互いの協調的な関係こそが、
この壮大な自然を形作っている、
原動力であり、基盤になっています。

その基盤が成り立っている世界の中で、
満たされない環境に陥った場合に、
争いが生まれてくると考えられます。

「協調」の本質は、非常にシンプルです。

基本的に、二つの出来事で成り立っていると考えられます。

一つは、「個」が自律性を持って生きていること。
もう一つは、「個」が他に与える影響と同等に、
他からの影響を受け入れることです。

それが合わさることで、
他から受けた影響を、
自分の自律性の中で処理し、
それが再び他へ影響する、
といった一つの形式ができあがります。
これが「協調」の原型と考えられます。

このシンプルな仕組みが、
全ての生命同士の間と、
生命とその環境との間で行われています。
そして、それらが集積して、
この壮大な地球生命系“ガイア”、
を形作っていると考えられています。

その地球生命系は、
お互いがお互いに与える影響が、
壮大な規模で連鎖しているために、
決して同じ姿を留めることなく、
常に、ダイナミックに変化しています。
生命とはモノではなくプロセスだ、
と言われるのも、この点に因ります。

さて、
いま世界各地で、
大量生産、大量消費を行う社会の構造や、
自然との共生よりも、
会社の利益や個人の利益を優先する、
経済活動に対して、

安全な食の生産や流通の構築や、
地域を中心とした自律的なコミュニティーづくり、
或いは、誰もが安心して生活できる社会づくりや、
健全な自然環境を復活させる活動などが、
10年前に比べて、
一気に盛んになってきました。

そういった活動は、
これまではオルターナティブと言われ、
ちょっと肩身の狭い思いをしてきました。

そのオルターナティブの最も顕著な特徴は、
自然と人間、或いは、人間同士の
「協調」を基本としていることです。

そういった活動では、
お互いが結びつき、
他者同士でも助け合い、
お互いを補完しあうことで、
これまでになかった、
新しいメリットを生み出しています。

そこに「競争」という概念が入り込む余地は、
ほとんどありません。

「競争」というより、
お互いが協力し合いながら、
より高い質を磨く「切磋琢磨」が、
品質などを高める原動力となるでしょう。

さて、ここで、
ひとつだけ注意すべきことがあります。
一般に「競争」の反対が「協調」と思われがちですが、
必ずしもそうではありません。

先ほどの、相手を「受け入れる」ことの、
度合いを軸に考えてみると分かりやすいと思います。

「相手を全く受け入れない」状態は自己中心です。
他者の「無視」や他者との「競争」がそうです。
「無視」は、相手に対して何もしません。一方、
積極的に相手を打ち負かそうとする行為を伴うのが、
「競争」です。

その逆に、「相手を完全に受け入れる」行為の代表というと、
それは「服従」です。
完全に自分を殺して、
他者を受け入れてあげることです。
つまり、完全に利他的な行為です。

すると、「協調」は一体どこに位置するのでしょうか。

「協調」は、その利己と利他の中間点にあると考えられます。
自己を大事にしながらも、他も大事にすること。
自分勝手でもなく、服従もしない生き方。
自律しながらも、協働している状態。

今後の社会では、
これが人間行動の基本となり、
それが集積して、新しい社会ができてくるはずです。

自然界とシームレスにリンクした、
美しく、愛に溢れる社会の原点がここにあります。

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