2009.11.05 00:14シリーズ「新しい社会の基本がわかる」についてシリーズとして、時々、このブログに書いてきた、「新しい社会の基本がわかる」ですが、これまでに6項目の話を掲載してきました。ブログの仕組みでは、過去に書いた文章がわかりにくいので、ちょっとここでまとめておきます。【1】自己組織化 (シリーズその2) ~人間社会で自己組織化が起こる条件 (シリーズその3)【2】必要十分であること (シリーズその4) ~必要最小限のものを、必要なだけ【3】“地域”が基本であること (シリーズその5)【4】競争から協調へ (シリーズその6)【5】Boundary ~ ”境界”を意識する (シリーズその7)【6】“繋がり...
2009.08.23 04:58【シリーズ】新しい未来の基本がわかる その8“繋がり”を増やすよく生物多様性が大事と言われますが、単に種類が増えればよいと言う問題ではありません。生物多様性の先にある、もっと大事な点は、種と種の間で、お互いに相互依存しあう関係が、いかに多く築かれているかどうかです。ある一定の大きさのコミュニティーがあったとします。仮に、それを構成する種が少なく、食物連鎖のようなお互いの繋がりが、単純な集団だったとしましょう。たとえばキツネ、ウサギ、草の種があり、キツネはウサギを捕食し、ウサギは草を食べ、草はキツネやウサギの排泄物を栄養にするとします。このようなコミュニティーの場合は、構成する種のうちの一つの個体数が少し変動しただけで、別の種の個体数は著しく増減し、コミュニティーはとても不安定です。ちょっとした拍...
2009.06.30 14:49【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その7Boundary ~ ”境界”を意識する“境界”(Boundary)とは、境の向こうとこちらとでは、世界が異なることです。これは、自然界において、いたるところに、当たり前のように存在しますが、そこには、とても重要かつ、深遠な意味が含まれています。例えば、私たちの身体は、細胞壁で囲まれた、一つ一つの細胞で出来上がっています。細胞は、それぞれが分離し、自律した働きをしているものの、お互いに密接な情報交換をし合いながら、協調した働きを行い、それが臓器や脳、筋肉として、非常に効率的で、周囲の環境変化に柔軟に対応できる、そういった身体を形成します。もし、人間の身体が単細胞で出来上がっていたとしたら、決してこれほどまでに、繊細な動きや、様々な外的環境の中で生存する...
2009.05.29 11:26【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その6競争から協調へこれまでの社会では、自然界は弱肉強食の世界であり、生存競争が基本となっていると、教えられてきました。しかし、それは、自然界の表層を見ただけであり、奥深い、その基本となっているところが、見えていないために、そのような認識をしてしまっている、のではないでしょうか。自然界では、お互いの協調的な関係こそが、この壮大な自然を形作っている、原動力であり、基盤になっています。その基盤が成り立っている世界の中で、満たされない環境に陥った場合に、争いが生まれてくると考えられます。「協調」の本質は、非常にシンプルです。基本的に、二つの出来事で成り立っていると考えられます。一つは、「個」が自律性を持って生きていること。もう一つは、「個」が他に与える影響と同等に...
2009.05.26 11:46【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その5“地域”が基本であること生命の世界では、ある生命が住んでいるその場が、その生命にとっての中心であり、行動範囲の中に、食べるものや飲むもの、住みかの素材が存在し、そして、死んでもなお、その身体は、その土地に還り、新たな生命の基となっていきます。その地域のなかで生命は育くまれ、そこには、生きていくための全てが満たされています。生命が生まれて、死ぬまで、それが自然界全体に対して行う貢献は計り知れません。たとえ、小さな虫であっても、その虫相応の、多大な貢献をしています。その虫の、食べること、動くこと、住みかを作ること、糞をすること、そして、他の虫や動物に食べられること、分解されて肥料になること。生命は、生まれてから死ぬまで、いや、死んでからも、全てのライフステ...
2009.05.07 12:20【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その4必要十分であること ~ 必要最小限のものを、必要なだけ健康な生命の営みでは、全てに無駄が無く、生命の維持に必要なエネルギーは、必要なだけ作られて消費されます。たわわに実っている果実も、種の継承に役立ったものの他にも、動物や虫の食料になったり、土の肥料となったりと、結局は循環する生命系の営みの中で、見事に全てが役目を果たします。捕食動物の代表であるライオンも、おなかが減っているときは、一生懸命獲物をとって食べますが、そうでないときは、目の前に小鹿が通りかかっても、見向きもせずに寝ています。人間以外の生き物は、過剰な欲を持たず、必要最小限なものを、必要なだけ自然界から頂くという、自然界の鉄則のようなルールに従って、生きています。ネイティブインディアンや、日...
2009.04.27 23:55【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その3人間社会で自己組織が起こる条件その2では、自然界の自己組織化について、それが新しい社会の一つの基本になる可能性について書きました。それが人間社会において起こりえるのかどうか、起こるとしたらその条件とは何かということが、今回のテーマです。自己組織化の本質は「協調」にあります。今回のテーマを、“協調的組織”作りのための条件、と言い換えることも可能です。ただし、ここで一つおことわりしておきますが、人間社会にも自己組織化が・・・といっても、学問の世界でいう厳密な意味での、決定論的な自己組織化が起こるかということを、述べているわけではありません。生物の世界で起こっている自己組織化をメタファーとして、そのメリットが活かされる組織づくりが可能かどうかと言うことです。...
2009.04.23 13:36【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その2自己組織化生命の自己組織化とは、生命自身が、自らを形成し、それを維持、自己管理していくことです。自己組織化という言葉は、生命だけに使われるものではありません。単なる物質の世界でも起こります。物質の世界で起こる自己組織化の様子は、まるで生物が活動しているかのような、活き活きとしたものです。YOUTUBEを探したら、自己組織化の実験の映像がいろいろ出てきました。自己組織化を心にイメージするのに、そういった映像はとても役に立ちます。中でも、結構楽しめるものをご紹介します。1) Belousov-Zhabotinsky reactionhttp://www.youtube.com/watch?v=bH6bRt4XJcwこれは自己組織化の現象を、世界の研究家が注...
2009.04.22 04:04【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その1地球生命系に関する新しい研究によって、次々にその特徴がわかってきました。その特長にこそ、私たちが地球生命系と共生できる新たな社会づくりのための、大事なヒントが含まれていると言われています。その生命の智恵とは一体どのようなものなのでしょうか。これまでの生物学の主流は、世界はあたかも機械のように出来ていて、それらを細かに分析していけば、世界は把握できるというものでした。これを機械論的な観察などと呼びますが、極めて複雑な世界を、個別な分析だけによって観察しても、それは、例えて言うならば、複雑な立体のある一部分だけを観察したにすぎず、かなり偏った一面的な理解にならざるを得ません。そのために、今の環境問題や健康問題など、様々な問題を引き起こした原因にもなっている...