Seven Life Lessons of Chaos


シューマッハカレッジの後輩のエッセイ(レポート)を読んでいたら、
ある書籍を頻繁に引用しているので、
ちょっと気になってリファレンスを見たら次のような本でした。

HarperCollins e-books


byJohn Briggs, F David Peat

左のおすすめ本にもある、
“Science, Order and Creativity“を、
David Bormと一緒に書かれたDavid Peatの著作でした。

日本語訳も出ていました。
実に10年以上も前に出版されていて、
これまで気付かなかったのが情けなくなります。

ダイヤモンド社


この本の内容としては、
かなり前に、このブログでも複雑系と自己組織化について書いたことがありますが
概略においてそれとほぼ同じです。
この本はその内容がもっと分かりやすく、
しっかりと書かれています。

複雑系の大きな特徴の一つが自己組織化です。
私たちの世界では、
原子のレベルから、宇宙の星々の動きまで、
無生物の世界から、地球生態系といったあらゆる側面で、
「個」がお互いに影響し合い、
そこから一定の秩序が創出する自己組織化が起こっています。
つまり、私たちの宇宙は複雑系のしくみによって、
その多くができていると言っても過言ではありません。

自己組織化は、
様々な相互の力の働き方が、
極めて特定の条件を満たしたときに起こります。
これが自然界でごく当たり前に起こっていることは驚愕に値することです。

宇宙がビックバンに始まり、初期の混沌とした状態から、
自己組織化によって今日の世界へと形づくられてきたことを考えると、
この宇宙の諸物の全てには、
宇宙の始まりから永遠の未来のことまでを全て見通したかのように、
人間の知恵を遥かに超えた調和律が埋め込まれているとしか考えられません。

そのような自然界がもつ、
複雑系や自己組織化の特徴を考察することで、
私たちの人生や社会のよりよい在り方のために、
何か学べることがあるのではないかというのが、
この本の目的です。

この本、とてもお奨めなのですが、
既に絶版となっており残念ながら中古でしか買えません。
この手の本は日本では本当に売れません。

さて、この本の日本語訳は複雑系の専門の方が監修しているだけあって、
大方において問題ないと思います。
しかし、P111~P118でDavid Bormの”dialogue”が紹介されているところで、これを日本語で「問答」と訳しています。
もちろん、これは「対話」のほうが適切でしょう。
「問答」だと本来の意味の反対になりかねません。
この部分は読み替えて頂くほうが良いと思います。

0コメント

  • 1000 / 1000