ホリスティックな世界観とは ~ サティシュの想い


この連休の八ヶ岳はちょっと冷えた日々でした。

その寒い冷え冷えとした夜のこと、
何だか肩のあたりが寒いなと感じる寝床の中で、
ふと、
この冷え切った八ヶ岳で突然に外に放り出され、
もし自分が何の道具も持たないまま、
たった一人で生きていかなくてはならなくなったとしたら、
一体どのように生き延びたらよいのだろうかと気になってしまいました。

暖をとるのには薪がいります。
薪を切るには斧かのこぎりがいります。
のこぎりを作るには鉄がいります。
どこにその鉄を含んだ山があるのでしょうか?
どうやってその山から鉄を掘り出したらよいのでしょうか?
仮に鉄を含んだ岩があったとしても、
どうやってそれを溶かすことのできる高温を作り出したらよいのでしょうか?

私はそれなりの文明をもった時代に生まれてきましたが、
私自身は、小さな鉄や銅の破片さえ作ることができません。
できるとしたら、石の矢じりや斧くらいしか作れません。
仮に鉄鉱石の在りかや、鉄の作り方を知っていたとしても、
私一人では作ることは難しいのは目に見えています。
結局、どう考えても、
私は縄文人以下の暮らししかできません。

それを考えると私たちの文明は、
仕事の分業と集約によって豊かになってきた、
と言っても過言ではありません。
誰かが鉄鉱石を山から掘り、多くの人の手を経て、
鉄鉱石が鉄の塊となり、鉄の塊から様々な道具や部品が作られていきます。
私たちの豊かな暮らしは、
究極的には世界中の全ての人や会社、団体のおかげで成り立っています。

考えると当たり前の話なのですが、
こう世の中が複雑になってくると、
こういった世界の繋がりといったものがよく分からなくなってきてしまいます。
そのために、”何か”に不都合を感じると、
全体の関連性までは考えずに、
安直に因果関係を決めつけてしまいがちになってしまいます。
そして、一旦原因を決めつけると、
すぐにその”何か”を排除してしまおうという思考に走りがちになります。

「こんなに住みにくい世の中になったのは経済優先の社会が悪いからだ」
「資本主義は悪だ、変えるべきだ」
「反××・・・」
といった論調が後を絶ちませんが、それらも似たようなものです。

その思考の根底には、
私と相手(対象)は別であり、切り離されたものであるという、
一種の分離意識があります。
今や世界の殆どの人が、生まれてから無意識のうちに植えつけられてきた世界観です。
機械論的世界観や二元論とも言われます。

私たちの社会やこの地球の生命系の実際は、
まったくその逆で、
お互いがお互いに強く影響を与え合い、
お互いがあるからこそ「個」が存在できる、
全てを含む一つの全体システムです。
そこにある「個」は、決して全体から切り離すことも、
独立して存在することもできません。

その全体システムでは、
”何か”の問題が起こった場合、
それは特定の”何か”を原因として起っているのではなく、
それを取り巻く全体の相互の影響から問題が浮かび上がってきます。
例えば癌の場合では、
その臓器がおかしくなったから癌が発生したわけではなく、
その人を取り巻く環境、食、仕事、人間関係、その人自身の想念など、
様々な複合的な要因が重なって、
癌細胞が増殖できる素地が出来上がり、癌細胞が自然に増えていくと言われています。

こういった全体の相互関係に気付くことによって、
問題を解決するアプローチも変わってきます。
そのホリスティックなアプローチは、
これまでの、単に部品を修理したり交換したりするような解決法というよりは、
いわば、「場」を調整すると表現した方が適切かもしれません。
それは、より質に重点がおかれた本質的な対策となる可能性をもっています。

3月の末から4月のはじめにかけて、
再びサティシュ・クマールさんが来日され全国講演ツアーが行われます。
サティシュが世界を駆け巡って人々に語りかけている、
最も重要なポイントこそ、
このホリスティックな世界観についてです。

私たちが従来の分離意識による世界観のままでいるのか、
それともホリスティックな世界観を併せ持つのかによって、
私たちの未来は大きく変わってきます。
サティシュがダーティントン財団とともに、
イギリスにシューマッハカレッジを作り、
ホリスティックな世界観をもって活動や研究をしている数少ない先駆者達を、
世界中から招聘していることも、
原点はここにあります。

サティシュの今回の来日では、
嬉しいことに、初めて中京圏でも講演が行われる計画もあるようです。

近くツアーの予定が公表されることと思います。
(詳しくはこちらで・・・ ナマケモノ倶楽部HP

いつも招聘にご尽力くださっている辻先生やそのスタッフの方々、
それに各地での実行委員会の方々に本当に感謝です。

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