Transition Town と Organizing America


5年くらい前だったと思いますが、
その昔、留学時代にお世話になった、
イギリスのトトネス在住のHさんから、
クリスマスカードがきました。
そこには、
その街で始まった新しい環境活動のことが、
びっしりと書いてありました。

その内容は、
トランジションタウン・トトネスという、
ピークオイルと気候変動とに対しての、
解決にむけた運動を、
地域の仲間で立ち上げ、
精力的に活動しているということでした。

それから年月が過ぎ、
トランジションタウン・トトネスの活動は、
イギリス国内だけで100箇所を超え、
国境を越えてトランジションタウン活動として、
広く知られるようになりました。
ふと気づくと、日本でも、
トランジションタウン活動の勉強会が開かれ、
どうやら日本でも何箇所かで、
活動を始めた地域が出てきたようです。


私がトランジションタウン・トトネスの話を知ったとき、
地域の様々な人が、ある統一の目標に向かって、
お互いの考え方の違いを乗り越えながら、
それぞれの方法で改善に向かって努力していく方法は、
とても素晴らしいと思いました。
このトランジションタウン・トトネスの活動も、
現在は約10グループが加わり、
約20のプロジェクトが稼動しているようです。
お互いを拘束することなく、
お互いのゆるやかな連携によって、
着実に地域の変容を実現していくアプローチは、
世界のどこでも実施でき、
しかも、社会を変えるための、
とても基本的なことでもあります。

オバマ大統領の“Organizing America”
の活動も、全く同じ路線上にあります。
トランジションタウンとややアプローチは異なりますが、
地域の中でお互いの連携を重視し、
諸問題の解決に結びつかせようという施策は、
地域を中心とした新しい時代の社会づくりにむけた、
大事な種まきに他なりません。

ただし、一つだけ、
注意しなければならないことがあります。
5年前、
早い段階でトランジションタウンの活動を知っていながら、
私自身は、それを日本に持ち込み、
行おうという気は起こりませんでした。

それはなぜかと言うと、
トランジションタウン・トトネスの最終目標が、
当時は、
「ピークオイルと気候変動とにむけた解決」
に設定されていたからです。

そのいずれも、
私としては、確信のもてる根拠はありません。
明らかでないものを、
あたかも問題としてとりあげ、
しかも他人を巻き込んで活動を行うことは、
私の信条としてはできなかったからです。

曖昧な根拠の中で、
人のため、社会のため、地球のためといった、
大看板をかかげて行う活動は、
とても危険な要素を含んでいると思います。
場合によっては、
当の本人はまじめにやっていても、
現実は「扇動」と変わらなくなってしまうこともありうるのです。

これは、
私自身も常に気を引き締めて、
注意しなければならないことです。
特に、人様を巻き込む活動は、
本当に、慎重にその根拠や目的を考えぬき、
自分自身の心の底から、
納得できるものでなければならないと思います。

よくよく考えぬいた上で、
トランジションタウンの目標設定を行うこと。
この活動を行うには、
何よりもそれが大切だと思います。

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