Coherence ~ 調和への律動

ここ最近、
ブログの更新が疎かになっていましたが、
わけあって、
ジュード・カリヴァンさんや、
アーヴィン・ラズロさんの著作を、
たて続けに読んでいました。

特に何か新しい発見があったわけではありませんが、
本のところどころで、
ホリスティックサイエンスの重要性について言及し、
そういった学校が出てきていることを、
書いてくださっていることが、
私としては、ちょっと嬉しいことでした。

もう、出版されて2年たっている、
ラズロさんの「生ける宇宙」ですが、
デカルト-ニュートン以来の、
一般的な西洋科学を、
唯一の科学だと信じておられる方には、
是非、お奨めの一冊です。
生ける宇宙―科学による万物の一貫性の発見
アーヴィン ラズロ
日本教文社

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ラズロさんは、この本の中で、
この世界自体がひとつの包括的な宇宙であり、
一つ一つの生命も、私たちの身体も、
地球も、惑星運動も、銀河の動きも、
全てのものは相互に調和しあい、律動する、
コヒーレンスな状態であると述べています。
この考え方は、今、西洋でも、
急速に存在感を強めており、
その考えを後押しする研究が、
増えていることが紹介されています。

従来の自然科学は、
いわば、対象を試験管に入れて観察するようなもので、
かなり特殊な状態でしか物事を見ていません。
したがって、その研究結果を、
自然の姿だと解釈してしまうと、
大きな誤謬を産んでしまいます。
特に、医学や生物学などの自然相手の研究では、
これまで、実際の自然界の姿とは、
随分かけはなれた解釈がなされてきました。

これに対して、自然界をホリスティックな視点から観察し、
自然界のコヒーレンスに注目するなら、
今までの解釈とは大きく違った、
新しい世界に気づくことになります。
これこそが、私たちが本当に知るべき世界であり、
人類が、自然界の一員として、
調和して(コヒーレンスして)生きていくために、
欠くべからざる世界観でもあります。
また、健康問題、社会問題にしても、
その根本的な解決は、
自然、或いは、宇宙とのコヒーレンスぬきには、
ありえないことに気づくことができます。
そして、今までとは大きく違った医療、社会システムが、
必要なことがわかるでしょう。

通常の本ですと、
著者が持論を書いて終わりですが、
この本は違っています。

ラズロさんの考え方と方向を同じにする、
数々の著名な研究家、例えば、
ピーター・ラッセル、
ジェーン・グドール、
エリザベット・サトゥリスなど12名が、
それぞれの分野からの説明を行っています。
ラズロさんだけではなく、多くの一流の学者が、
ホリスティックな視点で研究を見始めていることを、
はっきりと明示しています。
なかなかの圧巻です。

ちなみに、ラズロさんを含めた、
上記の4人のほかにも
カプラやシェルドレイクなど、
この本にはシューマッハカレッジの関係者が、
多数登場します。

今後の学術界は、
これから10年、20年の間に、
急速にこちらの方向にシフトしていくと思います。
これまでの分断的な視点では、
正しく世界が把握できないことが、
多くの研究者の間でも認識されてくるからです。
欧米の研究家の多くが、
この流れに遅れまいとして、
ホリスティックな視点での研究に、
舵を切っていくでしょう。
舵を切らずに、従来の研究を続けている人たちは、
そう遠くない将来、学術界の中で、
「化石」のような存在になってしまうのは、
間違いありません。

尚、Coherenceの訳ですが、
辞書のとおりに直訳して“一貫性”と、
しているケースが多いのが現状です。
実は、この本もそうなのです。
しかし、
Coherenceの本質を掴んでいる人にとっては、
この訳語では、
最も大事な部分が欠けてしまっているために、
けっこう違和感を感じるものとなっているはずです。

Coherenceは、
お互いが常に干渉しあいながら成しえる、
調和的な律動の状態です。
多数の自律的、協調的な個が、
カオス状態から美しい秩序を織り成す、
Chaotic Orderもその一種といえます。
それは静止している状態ではなく、
とてもダイナミックな状態なのです。

自然界を形成しているCoherenceについて言えば、
それは、生き生きとした生命感あふれる、
宇宙の本源と同調した状態であり、
愛であり、幸福であり、平和である、
宇宙を動かしている原動力と言っても、
過言ではないと思います。

単なる“一貫性”では、その大事な部分が伝わりません。
ぴったりくる日本語もなかなか無いのですが、
漢字の意味からすると、
最も相応しいのは「調和」でしょう。
或いは、少し長くなりますが「調和的律動」、
と訳すのが良いのではないでしょうか。

Coherenceは、間違いなく、
これからの時代の、
重要なキーワードの一つになることでしょう。
ただしこれを、
日本人が単に“一貫性”であると理解してしまうと、
日本人だけが、その大切な部分の認識が、
欠けてしまうことになってしまいます。
結果として日本人が、
世界から遅れてしまわないようにしたいものです。

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