上映会の報告と御礼&この映画の本当の価値とは

昨日の「幸せの経済学」上映会&ダイアローグカフェは、いろいろな方のお蔭で無事に開催することができました。
東京、神奈川、埼玉、長野など遠方からもおいで下さり本当に恐縮です。わざわざ来て下さった甲斐があったかどうか、ちょっと私としては不安なのですが、いろいろと至らなかったところは、どうかお許しください。

今回、会場が料金を徴収できない場所で自腹覚悟での開催だったのですが、カンパを募らせていただいたところ、皆様のご理解とご協力のお蔭で、我が家の出費をかなり抑えられるくらいにカンパをいただき本当に助かりました。また、受付から託児、ドリンクサービスまで、いろいろとボランティアスタッフの方にはご協力いただきました。本当にありがとうございました。

ダイアローグカフェは結構盛り上がり、あっという間に終了時間となってしまいました。会場をお貸しくださったKEEP協会の方々もご参加いただき、やはりダイアローグには慣れていらっしゃるのか、とても上手に、さり気なくリードしてくださっているのが印象的でした。

全体セッションでは、安曇野のシャロムヒュッテの臼井さんが、パーマカルチャーをはじめとした新しい暮らし方への取り組みや考え方を説明くださいました。長年の実践に裏打ちされた説得力がやはり違います。また、地元で自然農や有機農業をされている方々の発言もうかがうことができ、有意義な時間を過ごさせていただきました。皆様、どうもありがとうございました。


一つ気になる事もありました。この八ヶ岳という、大都会からの脱出組が多いいという特殊性なのかもしれませんが、今回の映画の内容は、既に分かり切っていることで、大して目新しい内容はなかったというコメントやアンケートも少なからずありました。

実は私自身も、この映画を見た第一印象はそうでした。しかし、たまたま私が主催者だったゆえに、試写版を観て、スタッフの打ち合わせの時に二回目を観て、本番用DVDのチェックで三回目を観てと、何回か繰り返して観るうちに、私は大きな勘違いをしていることに気づきました。

この映画は、字幕が早く、インタビューの話も次々に展開するために、一回だけ見たのでは、強く印象に残った部分しか頭に残りません。しかし、たまたま私は何度か映画を観る機会があったことから、映画の中でヘレナやその他の方々が語っているメッセージの一つ一つをじっくり追うことができました。それぞれは短い言葉で、時間にしても何秒かで通り過ぎてしまいますが、実に厳選された言葉の集大成であり、今の社会を見直すのに必要な考え方の、かなり多くをカバーしていることに気がついたのです。

例えばヘレナは映画の中でインドのBalaji Shankarに、地域に根差した小規模有機農業の実践に関連して「遺伝子組み換え作物は必要なくなる」と語らせています。実はヘレナは遺伝子組み換え作物に関して、この分野に詳しい生物学者、エコロジスト、遺伝子学者、農家などから相当に学んでいます。その上でヘレナは遺伝子操作作物反対の立場をとり、自らもイギリスの中で国中が一時期騒然としたほどの問題提起のムーブメントを起こしたこともあります。つまり、Balaji Shankarに語らせた「遺伝子組み変え作物は必要なくなる」というその一言の中には、ヘレナの膨大な知識と経験と判断とが込められているわけです。そのような、膨大な背景を持った一言が映画の全編に織り込まれているのです。

幸せな経済・社会への転換には、現在の社会を形作っている基盤となっている考え方が変わることから、経済、社会のあらゆることが根底から変わってくるはずです。それは、ほとんど全ての分野と言っても過言ではありません。その全てとは言いませんが、ヘレナは本当に幅広い分野を勉強し、若い時から世界のオピニオンリーダーと繋がり、壮大な知識と思想を持っています。そういった彼女の知識と考えのエッセンスが、1時間8分という短い時間に、まるでデータベースのように集積されているのです。それらの一言一言は本当によく吟味されています。いい加減な発言は一つもありません。

それは丁度、聖書を通り一遍に読むと、それはただの物語ですが、理解している人が読むと、その文章のいたるところに重要なメッセージが織り込まれていることが分かるのとよく似ていると思います。そういった意味では、この映画はヘレナが何年もの歳月をかけて制作してきただけあって、これからの社会構築のために必要なメッセージが至る所にセットされている、まさにバイブル的存在と言っても良いと思います。

ただし、映画の展開のスピードが速く、映像は先にどんどん進んでしまうので、一回見ただけではなかなかついていけません。繰り返して観なければついていけないという点がこの映画の欠点かもしれません。2時間映画でも良かったから、メッセージとメッセージの間に少し間をおいて、視聴者が考える余裕ができればベストだったかもしれません。

それは兎も角、暫くしてから私もまた、自分の考えを整理したり確認したりする手立てとして、この映画を再度、繰り返して観たいと思います。

Think Beautiful

未来に残したいリジェネラティブな社会づくりを考える

0コメント

  • 1000 / 1000