このところ、
私が読んでいるブログ等ではGenerosityという言葉が、
頻繁に行き交います。
普通の英和辞典で翻訳すると、
寛容だとか、気前良さだとかになってしまいますが、
それでは本来の意味するところを正確には表しません。
ここで使われている意味は、
何かを犠牲にして奉仕するというのではなく、
無償で他人にモノを贈ったり、
見返りを求めることなくサービスをしてあげ、
他者に喜んでもらうためのみならず、
自らの喜びのためにも行う行為を意味していると思われます。
日本語でぴったりくる言葉が見当たらないのですが、
「贈与」という言葉がやはり近いかもしれません。
Generosityの体験を目的としたcaféとして話題を呼んでいるのが、
このKarma Caféです。
Karma cafe / Berkeley
お客が自分が食べた分については支払うことなく、
自分がこの店で経験した素晴らしい体験を、
また別の人にも体験してもらいたいと思う人が、
将来にここのお店を訪れるお客様のために支払いをするのです。
そもそも、自分達が食べた分は、
だれか以前にこのお店を訪れた人が、
自分達のために既に支払いをしてくれているので、
支払う必要はありません。
あらかじめ値段が決まっておらず、
サービスを受けた後に、
お客さんが値段を決めて支払うという点では、
日本でも15年くらい前に、
ホスピタリティーの向上という目的で、
名古屋の某有名ホテルや、各地の飲食店が、
支払い金額をお客様に決めてもらうシステムを導入したことがありました。
結果的に、お客様にも、働く人にも大不評で、
すぐにどこも取りやめていきました。
Karma Caféの行っていることは、
日本のそれらの取りくみとは、
目的も仕組みも大きく異なっています。
誰かから受けた善意を、
今度は自分が誰かにすること。
つまり、“ペイフォワード”でお店が運営されていいます。
さらに重要なことは、
サービス自体に対して支払いをしない点です。
労働に対して、価値づけをしないのです。
この「ペイフォアワードモデル」の事業形態は、
既に、各地で生まれてきているようです。
こういったお店に来る人々は、
お互いが繋がっていることが実感でき、
お客さん同士やお客さんとお店の人たちも、
どことなく家族のような感覚を抱くそうです。
Gift Economy(贈与経済)への道のりは遠いですが、
「ペイフォアワードモデル」は、
それを疑似体験できる点で、
Gift Economyの実現にむけた一歩として、
とても面白い試みと思います。
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