老子 ~ 理想の国のすがた

先日、竜河氏と会う機会があり、
彼に触発されて、久しぶりに老子の本を開いたところ、
その中に理想の国の姿について書いてある詩があるのを思い出しました。

昨今の、新しい社会作りにむけた様々な活動の中で、
地域共同体、ローカリゼーション、地域通貨、
伝統の復活といったキーワードが踊っていますが、
それらのキーワードの全てが、
この老子の第80章の「獨立」という詩に詠われています。

詩の中に、文明の利器に頼らない暮らしについての記述がありますが、
E.F.シューマッハが唱えた「中間技術」の考え方にも通じます。
この老子の世界は、
シューマッハの考え方と根底を一にしていると言っても過言ではありません。

中国で中国古典に子供のころから親しみ、
その真髄を知っておられる竜河氏の訳があれば良かったのですが、
今日はそれはないので、
とりあえず、私の素人の現代語訳でどうぞ。


老子 第80章 「獨立」


私の考える理想の国の姿とは、
それは村のように小さく、
それほど多くない人々が寄り添って、
お互いに支えあいながら暮らしています。

文明の利器があっても、それに頼ることはなく、
命や健康を脅かす可能性があることは行ないません。

便利な乗り物があっても、それに乗って遠出することはなく、
自分たちの身を守る武器があっても、それを使うこともありません。

お互いに必要とする物や食べ物は、
簡素な仕組みの記帳だけですませます。

食べるものは、どれも美味しく。
人々の着る服は、美しく仕立てられています。
住む場所の安全は確保され、
そこには、ささやかな楽しみが満ちています。

隣の国との境はすぐ近く、
鶏や犬の鳴き声さえ聞こえるほどですが、
国境を渡って行き来する人はほとんどいません。

誰もが自分の国と大地とを心から愛していて、
そこで豊かな一生を過ごすのです。

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