この連休は八ヶ岳で、
久しぶりに、ゆっくりと一人の時間を過ごしていました。
八ヶ岳にいると、
私は音楽もテレビも要りません。
静寂な自然の中で、
その自然の営みを感じながら一人静かに過ごす時間が、
何よりも、私にとっては貴重であり、
幸せなひと時です。
今回は、そういう時間の合間に、
懐かしい一冊の本を読み返していました。
それは、恩師の一人Henri Bortoft博士の、
「The Wholeness of Nature
~ Goethe’s Way of Science」
Floris Books
Henri Bortoft博士は、
日本ではあまり知られていませんが、
科学哲学の分野では世界的に注目されている方で、
デカルト以降の機械論的な世界観・哲学と対峙する、
全体論的な世界観・哲学を研究する第一人者です。
特にゲーテの科学論の研究で知られています。
ゲーテというと作家のイメージが強い人ですが、
実は作家である前に神秘思想家であり、
自然界の観察方法、認識の仕方についての考察を残し、
それが後年、ゲーテの科学論として知られ、
全体論の考え方の基本として認識されるようになりました。
私はまだ読んでいませんが、
Henri Bortoft博士は新著も出されています。
前著の内容をさらに深めた内容のようです。
Floris Books
その全体論的な認識のあり方の一端を、
Henri Bortoft博士が説明している文章が、
シューマッハカレッジのホリスティックサイエンスのブログに引用されていましたので、ご紹介しておきます。
「偽の全体というものは、
具象的な知覚からは分離している知性、
the intellectual mindを基盤としています。
つまり、知性が知る全体は、
具象的な部分とは分断されています。
そのため、偽の全体像は抽象的となり、
何のダイナミズムも感じさせません。
それとは対称的に、
真の全体は、先の知性とは異なった、
何らかのより高次の知覚能力を通じた直感、
the intuitive mindによって認識されます。
直感は、具体的な部分に深く入っていき、
そこから全体を知ろうとします。
それによって、その全体がもつ、
ダイナミックで活き活きとした、
多様さ複雑さを知ることができるのです。」
(Henri Bortoftとの対話より
July 14th, 1999 by Claus Otto Scharmer)
この文章はOtto Scharmer が、
1999年にHenri Bortoft博士にインタビューしたときのものです。
このOtto Scharmerは、この後に、
Henri Bortoft博士の述べている直感を、
人々の意思決定に応用した「U理論」を発表しました。
日本でも訳書が出ているのでご存知の方もおられるかと思います。
Henri Bortoft博士は、
いま、世界の様々な分野の研究者に影響を与えています。
50年後から現代を振り返ったときに、
彼は、いま起こりつつある大きなパラダイム転換を促した、
重要な研究者だったと、
きっと評価されているに違いありません。
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