Random House
今、欧米で大ベストセラーとなっている本。
ニューヨークタイムズなど各紙やテレビで絶賛されています。
原書は「自閉症の僕が跳びはねる理由」
自閉症の東田直樹さんが中学生の時に書いたものです。
重度の自閉症の為、話すこともできない彼ですが、
文字盤を使って、彼が口では語れない内面の世界を表現してくれています。
エスコアール
時間や空間の捉え方が一般の平均的な人と違い、
また、心身の制御も難しいことから、
思考や行動にもそれらが大きく影響していますが、
心の奥底には、誰もが持つ幸せへの希求があり、
彼ら自身、自らのことを悩みながらも、
懸命に努力していることが伝わってきます。
自閉症は米国では約100人に一人、
韓国では40人に一人くらいらしいのですが、
自閉症スペクトラムと言われるように、
どこからが自閉症かという明確な区別はできません。
そういった意味では、自閉症は「障害」ではなく、
「個性」と言い変えた方が的確だと思います。
そもそも日本で出版された時には、
それほど話題にならなかったのに対して、
欧米でセンセーショナルなほどに話題を呼んでいるのは、
自閉症の人々をどのように社会に受け入れるべきかといった、
社会的な関心度の高さの違いが根底にあるのだと思います。
世界でも極めて均質性の高い日本では、
他人も自分と同じと考える傾向が強いように思われます。
その為に、出る杭は打たれやすく、異端は排除されます。
ちょっと他の人と感覚が違うと、
空気が読めないと言われるのもそのせいです。
子供たちの勉強も、個性よりは一斉教育が重視され、
枠にはまった子供を育てることが目的となっています。
そういった意味では、
日本は多様性を受け入れ、それを活かすことにおいて、
極めて遅れをとっている国であるのは間違いありません。
自分と人との違いを理解して受け入れることは、
夫婦、家族の間ではもちろんのこと、
人々が一緒に暮らしたり働いたりする上で最も基礎となります。
これがなくては、どんなに経済的に豊かであったとしても、
本当の幸せは決して訪れてはきません。
日本がそういった多様性を本当に重んじる国になるためには、
まずは、子供の時から、
その子の個性を重視し、その才能を伸ばす教育を行うことが必要だと思います。
自分の個性を認められた子供は、他人の個性も認めるようになります。
そして、その子が大人になった時、
同じように個性を重視した子育てを行っていきます。
オランダなどでは半世紀も前から、
机を並べて同じことを学ぶ一斉教育の弊害を認め、
30年以上も前からそれぞれの子供の個性にあわせた個別教育に移行し、親から子への好循環がすでに働き始めています。
私が子供だった頃、
子供心に、子供を没個性にしていく学校教育に対して、
とても不満に想っていました。
覚えることだけに力を入れ、
その子の個性を標準的な枠に押し込め、考える力、創造する力を奪っていく教育。
それは今も続いています。
是非、一年でも早く、国を挙げての教育改革が進むことを祈っています。
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