自然から学ぶ社会のしくみ(2) ~ 生命の基礎=自己組織化

自己組織化

生命の自己組織化とは、生命自身が自らを形成し、それを維持、自己管理していくことです。自己組織化という言葉は、生命だけに使われるものではありません。単なる物質の世界でも起こります。物質の世界で起こる自己組織化の様子は、まるで生物が活動しているかのような活き活きとしたものです。

YOUTUBEを探したら、自己組織化の実験の映像がいろいろ出てきました。自己組織化を心にイメージするのにそういった映像はとても役に立ちます。中でも、結構楽しめるものをご紹介します。


1) Belousov-Zhabotinsky reaction

http://www.youtube.com/watch?v=bH6bRt4XJcw


これは自己組織化の現象を、世界の研究家が注目するきっかけになった有名な実験です。単にある物質の酸化還元反応なのですが、些細な刺激によって、ある一点の分子を起点に反応が始まります。そして次々と隣の分子に影響が伝わります。反応した分子は一定の時間のあいだ色を変えていきますが、しばらく時間がたつと逆反応を起こして色は元に戻ります。それぞれの分子は、その後は、周期的に酸化と還元を繰り返すだけなのですが、それを分子の集合全体でみると、このような美しい円環状の模様ができていきます。


もう一つご紹介しましょう。こちらは家庭にもあるコーンスターチでの実験です。単なるコーンスターチがどうなるのか見ものです。

2) Amazing Liquid

http://www.youtube.com/watch?v=nq3ZjY0Uf-g


ある一定の条件さえ整えてあげれば、それら分子同士の動きが相互に影響を与え合い受け合うことにより、このような見事な秩序的な形態を作り出します。・・・見事というか、その動きはまさに幼虫そのものです。


こういった自己組織化が私たちの生物体の形成や活動の元になっていることは、この数十年の間に急速に分かってきました。例えば、植物や動物が発生し成長するとき、元素や分子がお互いに影響しあいながら形態形成していくこと。また、私たちの心臓細胞の一つ一つが、お互いに共鳴しながら鼓動を作り出していること。あるいは、私たちが考えたり、思い出したりするときに、脳細胞間の共鳴で起こる発火現象。群で生活する昆虫などの集団秩序。鳥の群生がまるで生き物のように大空をうねる姿。その例の枚挙はつきません。


ここで大事なのは、自己組織化の場には、外部からの指令や管理がないということです。その秩序(又は組織)を作っているのは、全て当事者である「個」です。そのために、外界の環境変化や外的に遭遇しても、迅速に、しかも、柔軟に反応することができることも少なくありません。


自己組織化という言葉が、人間社会にも当てはめられているのは、まさにこの点にあります。民主主義の原点ともいえる、自分たちの、自分たちによる、自分たちのための、政治や社会活動そのものです。自己組織化によって形成されている組織やコミュニティーには、リーダーもフォローワー(追随者、服従者)もいません。


そういった組織やコミュニティーは、社会の変化に柔軟に対応することができ、今の会社や行政組織で必然的に起こる誤謬も、自己組織化した組織では激減するはずです。何よりも、その当事者自身の、想い、希望、やる気、理想、モラル、社会正義を、社会や環境に、より適応した形で実現できます。


自然界を形成している無数の自己組織化の連続は、まさに神が創造したとしか言いようが無いほど適切な場所で、適切な時に起こるように、奇跡のようなチューニングのもとで起こっています。自己組織化する組織をつくるということは、その自然界の秩序と同じものを、神の子といわれる人間が、自ら現実世界に創造して行くことを意味します。これこそ本当のエコロジカル社会の出現であり、ひとつの人類の進化と言うべき出来事と言ってもよいかもしれません。


しかし、現時点において、理想的な自己組織化がどこの人間社会に起こりうるかと言えば、それは無理でしょう。先の実験で、一定の条件が整わなければならなかったのと同様に、人間社会に自己組織化が起こるにも、それなりの条件が必要です。ですが、社会は明らかに、その条件が整う方向に向かっていると考えられます。従って、今後、世の中は、本当の意味で民主的になり、今なお多数派の封建社会的な会社、行政組織も大きくその様相を変えていくでしょう。


その条件とは何か?そこがまさにポイントだと思います。私の大学院の研究テーマでもあったので、次回にでもご紹介したいと思います。


(旧ブログ「ひできの八ヶ岳ブログ」より修正・掲載)

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幸福な社会づくりをテーマに、日々の気づき、気になったことなどを書き溜めていきます。

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