今日は仕事のために愛知県まで出張だった。
その帰り道、何気にFMをつけると、
NHKのクラッシックの番組で、好きなスティーブ・ライヒの特集をやっていた。
曲目は「ダニエル・ヴァリエーションズ」
今年の5月に東京のオペラシティーでの演奏会の録音だった。
音楽を聴きながら、
ちょうど十年前に、自分が東京から八ヶ岳に引っ越す前日、
荷物も大半がダンボールに詰め込まれ、
後は引越しのトラックを待つだけになったその晩。
東京の最後の夜を、渋谷のbunnkamuraで行われた、
ライヒのコンサートに行ってすごしたの思い出した。
その日は、後からさかのぼると、
あらゆる面で、それまでの自分に別れをつげ、新たな出発をすることになった、
まさにその節目となった日でもあるので、ちょっと感慨深い思い出でもある。
今日の「ダニエル・ヴァリエーションズ」はとてもよかった。
ライヒも進化していることが実感できる、
じつに繊細かつ、鮮やかで、多様に変化するハーモニーが連なる曲であった。
曲の全てが聴きたかったので、
岐阜と長野の県境にある長いトンネルにかからないように、
わざと速度を落として走り、ちょうど御坂のSAのところで曲は終わった。
晩御飯を御坂のラーメンと決めていたのだが、
遅く走ったがために、目の前で店のシャッターが閉められてしまった。
だが、いつもと違って、今日はご飯より音楽の方が、明らかに優先度は高かった。
御坂の長いトンネルを走りながら考えた。
何故、こうもライヒの音楽に惹かれてしまうのだろう。
それは、単調な音の連なりがお互いに干渉しあいながらハーモニーとなり、
それが様々に展開する様子が、
自然界を創っているメカニズムである創発のイメージに、
まさに重なるからなのかもしれない。
そういえば、トンネルの中でもうひとつ思い出したことがある。
かつてシューマッハカレッジにいたときに、
その厨房から、ライヒの音楽に非常に似ている曲が流れてきて、
それは何の音楽かと聞いたら、
インドのある地方の古くからの伝統音楽とのことであった。
ライヒやインドのその伝統音楽は、
もしかしたら、永遠なる生命の鼓動を、
音楽を通して、私たちに経験させてくれているのかもしれない。
・・・ライヒの音楽のおかげで、
500キロの運転や、5時間に及んだミーティングの疲れも、眠気も吹き飛んだ。
帰宅してから、早速CDを注文した。
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