「峰山に和久傳あり」を夢見て


今日は、近くに住む両親が、
誕生日のお祝いということで、
美味しい物好きの間で評判の、
京都の和久傳の鍋をしてくれました。
白味噌仕立てのだしに、
既にきれいに包丁が入れてあり、下ごしらえしてある具は、
まさに職人の手による仕事が感じられます。
添えてある和がらしの味も絶品。
この手のお取り寄せのなかでは、極上といってもよいでしょう。

和久傳は、かつては京都の日本海側にある、丹後の峰山という小さな町の料理旅館でした。
随分前ですが、私も子供のときに泊まったことがあります。過疎地として教科書に紹介されていた丹後に、何でこんなに立派な旅館があるのだろうと、当時、不思議に思っていました。

かつて峰山は、丹後ちりめんの一大産地で、そのために、丹後に和久傳ありといわれるくらい大繁盛していたそうです。しかし、ちりめんの時代も過ぎ去ってしまい、和久傳は1990年代の後半に閉じることとなりました。その一方で、やり手の女将さんは、京都に進出し、室町、高台寺、伊勢丹など4つの店舗を展開し、今や、名だたる店の多い京都でも、高い評判と人気を得るお店となりました。そして、東京、名古屋にも次々と出店するに至りました。

丹後を出て京都に来たこの女将さん。
丹後を捨てることは、魂を奪われることと同じだと述べられたほど、つらいものがあったようです。いつかはきっと峰山に和久傳を再建したいとのことだそうです。

全てが都市に集中し、都市に集中したものが、
今度は東京に一極集中していく。
そういった流れが過去半世紀にわたって進みました。
まだ、その流れは進みつつありますが、
そう遠くない将来に潮目を迎えることになると思います。
その後は、それぞれの地域に、その風土に相応しい文化と経済が栄える方向にすすんでいくことでしょう。

いずれ、峰山が活気を取り戻し、和久傳が再開できることを祈っています。

和久傳

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