アメリカの大手メディアによる、オバマ大統領へのアンチ報道が始まったような気がします。
昨日の大統領令ではじめて知ったのですが、レーガン大統領時代に、Mexico City Policyという法律が制定されて今日に至っています。これは、アメリカ政府の援助を受けているNGOは、海外の国々で妊娠中絶をすすめることは一切禁止する法律です。
多くの方がご存知のように、アメリカでは妊娠中絶に対して激しい論争があり、犠牲者が出るほどの加熱ぶりです。対話による解決を重視するオバマ氏は、政府が一方的に禁止するのは公平の原則に背くとともに、対話による解決の妨げになるとして、就任早々にこの法案の廃止に踏み切ったわけです。そして、数週間以内に、妊娠中絶と健全な家族計画のあるべき姿を検討する会議を立ち上げるとしています。
今日のABCニュースを見ていますと、グアンタナモ基地収容所の閉鎖がテロを拡大させると不安をあおるとともに、このMexico City Policyに対する反対派の様子をピックアップし、オバマ大統領への信頼が揺らいでいるとコメントしています。オバマ大統領の前向きな行動には触れず、視聴者に対して悪印象づけを行っているとしか思えない報道です。
オバマ大統領になって、ホワイトハウスやオバマ大統領のブログを見ながら、大手メディアの報道を平行して見ていると、やはり大手メディアの偏向的な報道が際立って目に付きます。影の支配者の手の内にある大手メディアですから当然と言えば当然です。
オバマ大統領が就任して一番先に行ったのは、ホワイトハウススタッフの綱紀粛正とともに、議会、政府に対するロビー活動の厳しい禁止処置でした。大手企業や業界団体によるロビー活動が、著しくアメリカの政治と政策をゆがめていることは、アメリカの最大の問題点の一つとして以前から指摘されているものです。ロバート・ライシュ氏の「暴走する資本主義」にも詳しく書かれているように、ほとんどの政治家がロビー活動によるお金で支配されており、大手企業や業界団体の利益を最優先する政治が行われているのが現状です。
そのロビー活動をまず最初の仕事として止めさせようとしたオバマ大統領の行動は、もっと大々的に報道され、賞賛されて良いはずですが、大手メディアは大きくは取り上げませんでした。ロビー活動の禁止は、大手メディア企業や大手企業にとっては、極めて大きな痛手だからです。
オバマ大統領は、大手メディアを通さずに国民に直接訴える手段として、ホワイトハウスのHPを再構築し、毎日の動きを伝えることにしました。今も、演説やインタビューの映像、そして、進行中の政策立案の動きなど、一日に、いくつもの記事がアップされています。
オバマ新大統領の卓越した、と言うより、もはや人間離れした洞察力や判断力、バランス感覚は、正直、大したものだと驚きます。
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