昨日の記事に「システム思考」という言葉が出てきましたが、ちょっとそれについて補足しておきます。
お互いがお互いに影響を与え合い、
その無数の相互作用の集積で世界は成り立っていると考えられます。
経済活動も同様です。
その複雑な相互作用の集積である経済を、
分析的に完全に把握しようとするのは、
所詮無理な話ではありますが、
そのような複雑な世界を、
何とか理解しようとする努力の一つに、
システム思考と言うものがあります。
複雑な相互作用の集積の中で、
ある程度の重要な要素を把握し、
その因果関係の流れを、
図解的に理解していく方法です。
特に新しいことでもなく、その基本は、
「風が吹くと桶屋が儲かる」
とほぼ同じです。唯一違うのは、
「風が吹くと・・・」は勝手な因果関係をこじつけていますが、
システム思考では、現実に即して因果関係を解明していくことでしょうか。
さて、昨日の「負のスパイラル」も、
それを図にするととても分かりやすいかと思います。
今日は、その負を正に変える、
「逆転のスパイラル」の話です。
図が無くてすみませんが、
頭の中で描きながらお読みいただけると、
有難く思います。
「逆転のスパイラル」は、
昔お世話になった糸川英夫先生のベストセラー、
「逆転の発想」にちなんだネーミングです。
(本文ここから)
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大競争からの離脱 ~ 「逆転」のスパイラル
まず何よりも、大競争を作り出しているグローバル経済に過度に依存した状態から離脱し、適度に経済が地域内でまわる、地域循環型の経済を確立することを考えなければ、この問題を解決することはできないでしょう。
ただし、これは決してグローバル経済を全面否定しているわけではありません。基本的な生活財を中心に、近いほど取引が活発で、距離に応じて少なくなるという、ごく自然な形に戻すことを意味しています。
地域で生産されたものを地元で消費することが増加すれば、良質で、多様な地元の商品やサービスが増えてきます。すると地域内の取引が増加し、地域内でめぐるお金が増大します。
企業が、より地域の顧客との密接で固定的な関係を築くことができるようになると、グローバル大競争から徐々に距離を置くことができるようになります。そして、今までより安定的な経営を実現できるようになります。
そのような会社が増えてくると、多くの人々の収入や雇用も安定していきます。人々の暮らしが安定すれば、おのずと消費も増加するのは言うまでもありません。ここに、先ほどの「負」スパイラルを止める、まさに「逆転」のスパイラルが形成されていくのです。
この段階になると、これまでのような大量生産、大量消費からは卒業することになるでしょう。量や安さより、質が重視されるようになり、今までより少し高くても、長持ちして良いものを大事に使う。そういったライフスタイルをする人が増えてくるはずです。
これは一朝一夕でできることではありませんが、無数の競争相手を向こうに回すグローバル経済を生き残るよりは、行うべきことはシンプルであり、努力したら努力しただけの効果がでることは間違いありません。つまり、確実な手でもあるのです。生産者、販売店、消費者など、全ての人々が連携して、一緒になって取り組む必要があります。
まずは「食」の地産地消から
現在、日本各地、世界各地で行われている食の地産地消を推進する活動は、まさに地域循環型経済を推進する活動の一部として重なっています。それは、今後30年から50年といった長期的な視野にたった新たな社会づくりへの、先行事業としての側面もあることがお分かりいただけると思います。
まずは皆が取り組みやすい「食」の地域循環の取り組みを進めた後には、様々な産業分野において地域を重視した経済活動を推進する取り組みが求められます。
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