私の大学院時代に大変お世話になった、
シューマッハカレッジの、
ブライアン・グッドウィン教授が
一昨日の晩、亡くなられたとの連絡がありました。
今週はダーティントンホール財団で行われている、
夏のイベントで、
サティシュ・クマールや、
ガイア理論のジェームズ・ラブロックとともに、
スピーチをしているはずだったのに、
突然の訃報でした。
世界の生物学者が、
機械論的な研究に傾倒し、
利己的な遺伝子の考えが流行したり、
果ては、遺伝子操作にまで手を染めるようになった中で、
グッドウィン教授は、
生命は、ミクロの世界から、マクロの世界まで、
動的平衡、あるいは、カオス的平衡があり、
その壮大なネットワークで成り立っていることを、
主張し、明らかにしてきました。
若い頃に、数学者であり有機体論的な自然観を主張した、
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドに影響を受け、
数学を学んだ後、オックスフォード大学では、
ジョン・メイナード・スミスの研究室で、
理論生物学を専攻しました。
構造主義生物学の中心的な研究者として、
形態発生の研究などで世界的に知られる人となり、
その後、複雑系の考え方を用いた研究を多く行い、
アメリカのサンタフェ研究所の創立メンバーとして、
創立後は外部アドバイザーをされていました。
日本の京都学派にも関心が高く、
今西理論などにも造詣が深かったようです。
多くの研究者に影響を与え、
特に日本でも知られた人達としては、
スチュワート・カウフマン、
メイ・ワン・ホー
柴谷篤弘先生、岡田節人先生、
などと、親交が厚く、
共同研究などを行いました。
カウフマンの“At Home In the Universe”
(邦訳 自己組織化と進化の論理)
には、カウフマンがグッドウィン教授に、
影響を受けたときのことが書かれています。
機械論的な視点から研究している、
一般の研究者にとっては、
根本的な自然観の違いから、
受け入れられないとの批判も多く、
特に、利己的な遺伝子を主張する、
リチャード・ドーキンスとは、
お互いの考え方を尊重する一方で、
何度も対談や紙上討論を行われました。
そういった環境におられたせいか、
私も、自分の研究を、
グッドウィン教授に見ていただいた中で、
先生の曖昧さを許さない、
非常に厳密な研究姿勢を感じました。
先生は、
イギリスのオープンユニバーシティーで教鞭をとられた後、
シューマッハカレッジに来られ、
そして、世界で始めての、
ホリスティックな視点での学究を行う大学院である、
MSc. in Holistic Scienceコースを立上げました。
これは、まさにグッドウィン教授の
科学哲学、方法論、研究の集大成であるとともに、
ゲーテ、ホワイトヘッドから続く、
全体論的な視点での研究、
有機体的自然観を、
次の時代に継承する貴重な場となりました。
また、それに複雑系、システム論などを加味し、
自然科学のみならず、社会、経済分野など、
幅広い分野にわたる、
ホリスティックな研究を扱う拠点となりました。
2002年に先生が最初の心臓発作を起こされたとき、
先生は臨死体験に近い経験をされ、
そのことを最後の著書となった、
“Nature’s Due”に書かれています。
この本は、それまでに書かれた本とは違い、
先生の研究者としての枠を超え、
先生の人生の集大成として、
これからの地球で生きる人類のために、
必要となる考え方や視点、
そして何が大事なのかを書かれています。
もしかしたら先生は、
この書が最後になることも考えながら、
想いをこの本に託された気がしてなりません。
グッドウィン教授は、
時代の先を行き、
残された私たちに道を切り開き、
灯火をつけていって下さった方でした。
きっと今頃は、
地上の思い出を楽しみながら、
真の宇宙のしくみを、
次の世界でまた探求されていることと思います。
個人的には、私の人生の転換期に、
公私にわたって、
いろいろとご指導をいただきました。
本当に心より感謝申し上げると共に、
篤くご冥福をお祈り申し上げます。
シューマッハカレッジの、
ブライアン・グッドウィン教授が
一昨日の晩、亡くなられたとの連絡がありました。
今週はダーティントンホール財団で行われている、
夏のイベントで、
サティシュ・クマールや、
ガイア理論のジェームズ・ラブロックとともに、
スピーチをしているはずだったのに、
突然の訃報でした。
世界の生物学者が、
機械論的な研究に傾倒し、
利己的な遺伝子の考えが流行したり、
果ては、遺伝子操作にまで手を染めるようになった中で、
グッドウィン教授は、
生命は、ミクロの世界から、マクロの世界まで、
動的平衡、あるいは、カオス的平衡があり、
その壮大なネットワークで成り立っていることを、
主張し、明らかにしてきました。
若い頃に、数学者であり有機体論的な自然観を主張した、
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドに影響を受け、
数学を学んだ後、オックスフォード大学では、
ジョン・メイナード・スミスの研究室で、
理論生物学を専攻しました。
構造主義生物学の中心的な研究者として、
形態発生の研究などで世界的に知られる人となり、
その後、複雑系の考え方を用いた研究を多く行い、
アメリカのサンタフェ研究所の創立メンバーとして、
創立後は外部アドバイザーをされていました。
日本の京都学派にも関心が高く、
今西理論などにも造詣が深かったようです。
多くの研究者に影響を与え、
特に日本でも知られた人達としては、
スチュワート・カウフマン、
メイ・ワン・ホー
柴谷篤弘先生、岡田節人先生、
などと、親交が厚く、
共同研究などを行いました。
カウフマンの“At Home In the Universe”
(邦訳 自己組織化と進化の論理)
には、カウフマンがグッドウィン教授に、
影響を受けたときのことが書かれています。
機械論的な視点から研究している、
一般の研究者にとっては、
根本的な自然観の違いから、
受け入れられないとの批判も多く、
特に、利己的な遺伝子を主張する、
リチャード・ドーキンスとは、
お互いの考え方を尊重する一方で、
何度も対談や紙上討論を行われました。
そういった環境におられたせいか、
私も、自分の研究を、
グッドウィン教授に見ていただいた中で、
先生の曖昧さを許さない、
非常に厳密な研究姿勢を感じました。
先生は、
イギリスのオープンユニバーシティーで教鞭をとられた後、
シューマッハカレッジに来られ、
そして、世界で始めての、
ホリスティックな視点での学究を行う大学院である、
MSc. in Holistic Scienceコースを立上げました。
これは、まさにグッドウィン教授の
科学哲学、方法論、研究の集大成であるとともに、
ゲーテ、ホワイトヘッドから続く、
全体論的な視点での研究、
有機体的自然観を、
次の時代に継承する貴重な場となりました。
また、それに複雑系、システム論などを加味し、
自然科学のみならず、社会、経済分野など、
幅広い分野にわたる、
ホリスティックな研究を扱う拠点となりました。
2002年に先生が最初の心臓発作を起こされたとき、
先生は臨死体験に近い経験をされ、
そのことを最後の著書となった、
“Nature’s Due”に書かれています。
この本は、それまでに書かれた本とは違い、
先生の研究者としての枠を超え、
先生の人生の集大成として、
これからの地球で生きる人類のために、
必要となる考え方や視点、
そして何が大事なのかを書かれています。
もしかしたら先生は、
この書が最後になることも考えながら、
想いをこの本に託された気がしてなりません。
グッドウィン教授は、
時代の先を行き、
残された私たちに道を切り開き、
灯火をつけていって下さった方でした。
きっと今頃は、
地上の思い出を楽しみながら、
真の宇宙のしくみを、
次の世界でまた探求されていることと思います。
個人的には、私の人生の転換期に、
公私にわたって、
いろいろとご指導をいただきました。
本当に心より感謝申し上げると共に、
篤くご冥福をお祈り申し上げます。
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