誰がこの世界を不幸にしたのか?

月曜日(海の日)に
八ヶ岳から名古屋へ高速バスで移動。
ゴールデンウィーク並み(以上?)の混雑でした。

さて、そのバスの車中で、
父から、もう読んだからあげる、
とのことでもらった、
広瀬隆さんの、
「資本主義崩壊の首謀者たち」(集英社新書)
を読みました。
資本主義崩壊の首謀者たち (集英社新書 489A)
広瀬 隆
集英社

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広瀬さんの本は、
世界の大富豪たちのネットワークなどを調べ、
誰が今の欧米などの金融や政治を牛耳り、
世界や金融、商品市場を操作しているかを、
明らかにした本です。

米国の巨大金融組織を動かしている人々、
FRB議長、財務省長官、
IMFや世界銀行の要職の人々の多くも、
そういうネットワークとの関係が強く、
その意図を強く反映していることが、
説明されています。

広瀬さんは組織に属さず、
個人で調べておられるのだと思いますが、
とてもよく調べておられると思います。

奇しくもNHKドキュメンタリーで、
金融資本主義のシリーズをやっています。
先週は、金融危機を引き起こしたと言われる、
CDSやサブプライムローンの元となっている、
金融工学についてでした。

まるで金融工学が、
悪者のように思われがちですが、
その源は、
融資の対象をきちんと評価し、
リスクを適正に管理することで、
そこから緻密な計算を用いて、
安全な金融商品を作っただけで、
決して異常なことを考え付いたわけではなく、
常識の範囲のものでした。
泥水があっても、
それを濾せば多くの真水が得られるのと同じです。

しかし、すぐにそのうまみに目をつけ、
しっかりリスク評価してこそ、
成り立つ金融商品なのにもかかわらず、
リスク評価を無視した金融商品を作って、
売りまくった会社がいくつも現れました。
そして、
ついに土地の値段が下がり始めると同時に、
絵に描いた“信用”=つまり詐欺がばれ、
金融危機となってしまいました。

NHKドキュメンタリーが放映できる範囲は、
ここまでです。
この先は広瀬さんの世界です。

この巨大な詐欺の手法を扇動して、
天文学的なお金を集め、
タックスヘイブンにそれを持ち逃げした、
人たちがいました。
おまけに、安全のために設けていた、
様々な規制を取っ払い、
自由競争の名のもと、
なんでもありの金融システムにしてしまった、
財務省長官と大統領。

貧困国はさらに貧しくなり、
世界的に人々の格差は広がり、
その一方で、
一部の人が急速に巨万の富を得ました。
世界は安定するどころか、
ますます不安定になりました。

その繋がりを追及したのが、
広瀬さんの本です。
これはお奨めです。

こういった金融の闇に関連して、
18日の朝日新聞に、
ポールソン前財務省長官が、
下院の公聴会に呼ばれて、
証言させられた記事が出ていました。

ポールソン前財務省長官は公聴会で、
メリルリンチのバンカメによる救済合併について、
バンカメが合併を拒否しないように、
もしバンカメが拒否したら、
権力を行使してでもCEOを辞めさせると、
圧力をかけたと証言したのです。

ここからは、今度は私自身の調査の結果です。

バンカメには、
メリルリンチとの合併協議を担当していた、
メンバーがいました。
また、不正取引を専門に調査する査察官もいました。
バンカメは、メリルリンチが、
相当な損失を隠していることを発見していたのです。

そういった緊迫した事態が続いていたある日。
その彼らは、
メリルリンチのあるNYでの仕事を終え、
バンカメの本拠地である、
シャーロット行きの飛行機に乗りこみました。
しかし、その飛行機は、
離陸後まもなく、
二つあったエンジンが両方とも停止してしまいました。
(詳しくは1月23日の記事)

その乗っていた飛行機こそ、
あの「ハドソン川の奇跡」と言われた、
Airways1549便でした。

そして、その事件
(もう事故とは言わない!)の翌日、
バンカメはメリルリンチに、
巨額の緊急融資をすることを発表しました。
いや、するように強要された、
と言ったほうがよいのでしょうか。

背後に、ポールソン財務省長官などの、
金融行政の要職についている人々や、
諜報機関にも影響力のある、
強大な権力を持った勢力がないと、
このような事件を引き起こすことはできません。
それが現実に起こっている以上、
逆に、そういう勢力があることが、
証明されたようなものです。

いま、
ポールソン前財務省長官への弾劾が始まったように、
少しずつ、その背後が、
暴かれようとしています。
いずれ、そう遠くない将来、
世界を不幸にした最大の原因に、
皆が気づく時が来ることでしょう。

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