父が面白くなかったからとくれた本ですが、
私としては、ところどころに、
私が知らなかった戦後の日本の歴史が書かれており、
勉強させてもらいました。
1973年以降からバブル崩壊まで、
日本は、自民党と官僚とによる、
中央から地方への分配システムを構築していきました。
それと同時に、
福祉国家を目指しながらも、
フリーライダーを産まないための施策として、
産業界が国民を老齢になるまで雇い続け、
その間の健康保険や年金を負担するという、
終身雇用制、年功賃金、社会保険、年金を、
パッケージにした制度を作りあげていきました。
この本を読むまでは、
私は終身雇用制や年功賃金制度というものは、
日本独特の古くからの風習的な制度であると、
思っていたのですが、
実は、行政と産業界との協力無しには実現できない、
かなり壮大なビジョンをもった施策だったのです。
バブルとその崩壊から早20年。
リストラが広く行われるようになり、
同時に終身雇用制が崩れ、
雇用が急速に流動化しはじめました。
いまや転職は当たり前となり、
先の社会保障制度の前提は、
とうに崩れてしまいました。
しかし、制度自体はそのまま放置され、
制度の恩恵を受けられない人々が、
大量に出てきているのです。
昭和の時代には、
大局を見て日本を動かせる人々がいたのですが、
平成になってから、
自分の目先鼻先にしか興味の無い人たちが、
日本の中心に居座ってしまっているようです。
国民のセーフティーネットである社会保障を、
実情に合わせることさえ出来ない今の社会に、
一抹の寂しさを感じるのは、
私だけではないと思います。
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