糸川先生+「はやぶさ」+ワールドカップ=アフリカの平和

2003年ごろだったと思いますが、
小惑星に糸川先生の名前が付いたときは、
実にめでたいことだと思いました。
しかし、糸川先生の設計した戦闘機「隼」の名をそのままもらった人工衛星が、
その小惑星めがけて弾丸を撃ち込む実験をすると知った時には、
なんて糸川先生に失礼なことをと思ったのを思い出します。

そのせいか、「はやぶさ」は次々とトラブル続き。
星となった糸川先生が、後進の科学者を鍛えるがごとく、
試練を与えたかのような出来事でした。
でも、最後の最後は、
実に美しい流星の天体ショーを見せていただき、
そして、衛星をアボリジニの聖地に着地させたところは、
糸川先生ならではの、心意気のようでした。

もう、糸川先生を知る人も少なくなりました。
私が大学生の時に、
先生とともに学生と若手社会人のための勉強会を開くために、
私が大学でチラシ配りをしたことがありましたが、
その頃でさえ、糸川先生の名を知る学生は少数派だったので無理もありません。

その糸川先生が、当時、力を入れて活動されていたのが、
“種族”に関わる問題でした。
かつての政治的な国家間戦争に代わって、
昨日まで隣人だった人たちが、
突然、憎みあい、戦いあうことが世界各地で勃発するようになり、
その兆候を危惧した糸川先生は、
「種族工学研究所」というシンクタンクの活動を始められました。

種族の問題の中でも糸川先生が一番気にされていたのが、
アフリカの問題でした。

アフリカも、遠い昔は、
それぞれの種族が伝統的な生活を維持して、
それなりに安定した生活をしていたと考えられます。
しかし、欧米諸国がアフリカを植民地化し、
その伝統的生活を、遅れた文化として一掃し、
自分たちの西洋的な文化と大規模農業を押し付けました。
その後、欧米諸国が植民地化をあきらめて引き揚げた後、
アフリカは、土地も文化も荒らされ、
そのために、今日に至るまで、
横暴な権力争いや、種族間の戦い、貧困が絶えない、
人類の悲劇が繰り広げられ続けています。

糸川先生は生前、
アフリカ大陸は人類の問題が集積しており、
アフリカ大陸を平和にすることができたら、
その時こそ、地球に本当の平和の時代が訪れるだろうと、
よく話されていました。

そのアフリカの中でも南アフリカという国は、
アパルトヘイトがあったものの、
現代の偉人ともいえるマンデラ元大統領のおかげで、
比較的民主的な政治を取り戻し、
アフリカの中でも安定を取り戻しつつある国の一つです。

奇しくも、その南アフリカで、
世界的な祭典の一つであるワールドカップが開会する、
まさにその日に合わせたかのように、
「はやぶさ」が7年もの歳月をかけて地球に帰ってきたのは、
私にとっては、単なる偶然ではありません。

大いなる意思の一部となった糸川先生が、
これまで混沌としていたアフリカの大地に、
これから、平和が訪れていくだろうことを、
示してくれたように思えてなりません。

この地球は、
戦いや悲劇が繰り返された星から、
平和で調和に満ちる星へと変わりつつあるようです。
まだ、道半ばで、
ゴールはまだはっきりとは見えませんが、
着実に変わりつつある過程にいることは、
きっと間違いないことでしょう。

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