Occupy Wall Street ~ その意味、その背景

ウォールストリート、
つまり世界を牛耳る金融界を相手に、
Occupy Wall Streetの運動は1万人規模となり、
ロサンゼルス、その他の都市へと伝播しつつあります。

一般のメディアは、
あたかも、失業や賃金格差に不満のある人々が、
巨万の報酬を手にする金融界に対して抵抗運動を起こしている、
かのように報道していますが、
実はそんな単純な動機の運動ではありません。

さすがに、真摯な姿勢での報道に定評のある、
Cristian Science Monitorだけは、
今回の運動の要因は複雑であり、
どのメディアも明確に伝えきれていないと、
正直に記しています。

Occupy Wall Street運動のベースにあると言われているのが、
かつてシューマッハカレッジの講師も務め、
映画「幸せの経済学」にも登場した、
デビッド・コーテンが2009年に出版した、
“Agenda for a New Economy”です。
日本語版も出ています。
一灯舎


そもそもこの本は、
コーテンがオバマ大統領に対して、
新しい社会づくりを提案する形で書かれた本ですが、
紙面の半分程度を割いて、
ウォールストリートを中心とした、
利益追求を最優先し巨万の富を動かす、
金融界の改革の必要性について説明しています。

皆が幸福に暮らせる社会づくりには、
様々なことを変えていかなければいけませんが、
その中でも、今の金融システムの在り方は、
現代の様々な問題を生み出す大きな源の一つとなっており、
ここを変えていかなければ他の改革もおぼつかないほど、
大事な焦点となっているわけです。

ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ博士も、
Occupy Wall Street運動に賛同しているように、
現代の金融システムは、
自由になりすぎ、大きくなりすぎたために、
その負の影響が深刻になってきて、
今や社会が受け入れられなくなってきたのです。

デビッド・コーテンのこの本の後半には、
皆が幸福に暮らせる社会とは、
一体どのようなものなのかについても、
そのエッセンスがストーリー仕立てで書かれていますので、
次の社会のイメージがまだよく掴めない方にとっては、
参考になる一冊と思います。

日本の金融に関しては、
田中優さんと城南信用金庫理事長の吉原毅さんとの対談もお奨めです。
本来、金融機関が担わなければならない役目を、
根本から突き詰めて考えておられる吉原理事長の話は圧巻です。
田中優さんは、早い時期から新たな形の金融の在り方を考え、
市民主体のコミュニティーバンク設立の先駆者として知られています。

「幸せになる金融 ~日本の未来のために、市民にできること~」

日本の金融機関に勤める方は絶対に必見です。
もし皆さんの会社に出入りする銀行員がいたら、
是非見るように薦めてあげてください。
多くの銀行員が自分の本当の役目を考え直せば、
日本は大きく変わっていくはずです。

0コメント

  • 1000 / 1000