天外伺朗さんのレポート


八ヶ岳のお正月は、
12月の寒波と年末の雪が嘘のように、
晴天でおだやかな、お正月らしい三が日でした。

トンネル事故のために、
東京方面から来られる方が少なかったこともあって、
いつもなら年末年始はそれなりに賑わうリゾート地も、
なんとなく静かな感じでした。

さて、日本で名前が通っている方々の中で、
私と一番考え方の近い方というと、
それは、天外伺朗さんではないかと思います。

人間の本性のレベルから物事を考え、
そこからビジネス、経済、社会などの世界を読み解き、
ホリスティックな視点をもって自ら分析し考えたことを、
公に発信し続けている方は、
天外さんは唯一無二の方だと思います。

天外さんが、元旦に出されたレポートですが、
人間の心理学的、精神的な発達段階の観点から、
今の日本の情勢を論じておられます。
とても端的に書かれており、分かりやすいので、
ここに転載させていただきます。

天外さんのレポートは、
このブログをお読みいただいている方にも、
きっと気に入っていただけると思います。
お奨めです。(購読無料)

では、ここから転載。
*****************


  天外レポート No69 (2013年1月1日)

 明けましておめでとうございます
一昨年は大震災、原発事故があり、昨年は竹島問題、
尖閣問題と続き、自民党の圧勝で終わりました。

 直前の反原発運動の盛り上がりから見ると、選挙結果
に対する違和感の声も多く聞こえてきましたが、いまの
日本の民意が反映していることは確かでしょう。

 今回の福島原発事故は、原子力村やその支配下にある学者
たちの実体を明らかにし、国、科学、報道に対する信頼を
失墜させました。戦後67年年が経過し、日本の社会は
はたして進化してきたでしょうか。
 昨年10月のメルマガ(天外レポートNo67:尖閣問題と社会
の進化)で取り上げた「社会の進化」の問題を、もう一度
掘り下げてみましょう。

 北朝鮮や中国のように「国民を洗脳しないと体制が維持
できない」社会より、今の日本の方が進化した社会である
ことには、あまり異論がないと思います。
 「洗脳」は、依存の残った「中期自我」というレベルに
人々を押しとどめてしまいます。国の扇動に乗って、軽々
しく反日デモで荒れ狂うのは「中期自我」の人たちです。

 中国は、天安門事件のときには、依存を脱して独立を
達成した「後期自我」のレベルの人がかなり育ってきた
ように見えましたが、その後の弾圧によって社会の進化
は遅れました。中国にはまだ、「中期自我」の人が溢れて
いる証拠が昨年の破壊的な反日デモです。

 ただ、私が個人的に知っている中国人は、国の洗脳政治に
批判的な人ばかりであり、例外なく「後期自我」のレベルに
まで育っています。
 サッカーの岡田武史、前日本代表監督は、いま中国の地方
チームの監督をやっておられますが、尖閣問題の影響は
まったくなく、人々は親切で熱狂的にサポートしてくれている、
といっておられます。

 新聞報道だけ読んでいるとわかりませんが、中国社会は
国の洗脳政治にもかかわらず、「後期自我」の人たちが少し
ずつ育ってきており、底辺から社会が揺れています。
 「後期自我」の人口が一定以上に増えると、今のような
強圧的な政治はできなくなり、外からも社会の進化が見える
ように枠組みが変わるしょう。
 このように、人々の意識のレベルが少しずつ向上し、次の
レベルに達した人が一定以上になった時に、古い体制が壊れ、
誰の目にも社会の進化が見えるようになるのです。

 さて、ひるがえって日本の社会はどうでしょうか。
信じたくないかもしれませんが、戦前までは全体主義、
軍国主義のとんでもない洗脳政治だったので、社会の進化
という意味では今の北朝鮮と同じレベルだったと思います。
 安保の風が吹き荒れた40年前は、会社の中のほとんどの
社員は、上司の命令に忠実で、滅私奉公をする「中期自我」
でした。つまり、戦前の洗脳政治の後遺症が、まだ残って
いたと思います。

 いまはどうでしょう?ひとつには、年功序列、終身雇用、
面倒見の良い日本型の経営スタイルが崩れて、いつリストラ
されるかわからない不安定な雇用状況になったせいもありますが、
会社に対して依存心が残っている人はめっきり減りました。
 親や配偶者や宗教などに、まだ依存している「中期自我」の
レベルの人は、かなりの数いますが、圧倒的に独立心のある
「後期自我」のレベルが増えてきました。

 「後期自我」の人は、他人に対する依存を脱したレベル、
と書きました。さらに詳しくいうと、表面的には立派な
社会人というペルソナ(仮面)を演じていますが、深層意識には
巨大なシャドー(影=抑圧された部分人格や衝動)の
モンスターが隠れている、というレベルです。
 いわば、人間に化けた狸がズボンの下に巨大な尻尾を隠して
いるようなものです。
 特徴としては、常に何かに戦いを挑んでいないと精神が安定
せず、多くの場合「悪」と戦う「正義の味方」に自分を同一化
します。したがって、自分とは意見の違う人たちを「悪」と
決めつけて粉砕しようとする傾向があります。
また、自己顕示欲が強いことが多いです。

 戦後の平和な67年のお陰で、日本は「中期自我」から
「後期自我」に向かう成長を遂げた人が増え、それに伴う
社会の進化をしっかりと歩んできたと思います。
 つまり、北朝鮮や中国がこれから直面しなければいけない
社会の大きな変局点は、日本では既に過去の話であり、
その次のレベルの社会へと移行しつつある、というのが
私の見解です。

 「後期自我」の次のレベルは、シャドーのモンスターが
少しおとなしくなった「成熟した自我」と呼ばれています。
 やたらに戦いを仕掛けることがなくなり、自己顕示欲が
少なくなり、自分と違う意見の人とも溶け合えるのが特徴です。
 東北にボランティアに行っていた若者たちと話すと、この
「成熟した自我」に達しているな、と感じる人が多く、日本も
次の社会の変革に差し掛かっていることがよくわかります。

 昨年10月のメルマガに書いたように、「成熟した自我」まで
達した人は自己顕示欲が希薄なので衆議院選挙に立候補する
ことはないでしょう。でも彼らも投票権があるので、選挙結果
を見れば、「成熟した自我」の人口比率がわかるはずです。

 もちろん、候補者は全員「後期自我」ですから、「成熟した
自我」の人たちが本当に投票したい人はいないかもしれません。
 そういう視点で、今回の総選挙の結果を見ると、不謹慎だと
叱られそうですが、投票率の低さは社会の進化の証かもしれません。

 原発に関して言えば、推進派は経済成長を最も重視しており、
いまの競争社会の価値観を肯定している「後期自我」の人が多い
でしょう。
「成熟した自我」の人は戦いを好まなくなり、経済的な
発展にあまり価値を見出さなくなります。そういう人が増える、
次の社会は競争がゆるやかになり、GDP(国内総生産)が下がり、
原発がなくなるという方向性を持っています。

 しかしながら、反原発派のほうが進化した人類かというと、
そんなことはありません。多くの反原発論者が、原発推進論者
のことを「人命の尊重より、経済原理を優先する、とんでも
ない連中だ」と否定し、粉砕しようとしています。
 これは、自分と違う意見の人を許容できず、すべてを
「正義と悪」という構図にあてはめ、自分を正義の味方に
同一化している「後期自我」の典型的な思考パターンです。

 1970年代の石油ショックの時、産油国に経済の首根っこを
抑えられたらかなわないと、日本は全面的に原発推進に舵を
切りました。同時に、クエート大使を外務省ではなく通産省
から出すなど、石油が安定的に供給されるための手を次々に
打ちました。

 私自身は、生理的に原発が嫌いで、そのときに東京湾に
巨大な堤防を築いて潮汐発電をするという、大規模クリーン・
エネルギー開発のプロジェクトを推進しました。いわば、
チェルノブイリや福島以前からの筋金入りの反原発論者です。
だからといって、原発推進派を非難しようとは思いません。
彼らも、真剣に日本の将来を憂いて、知恵を絞ってきたのです。

 手塚治虫は「鉄腕アトム」のころまでは「正義と悪」の
対決を書いており、「後期自我」だったと思いますが、
『火の鳥』あたりから「成熟した自我」に成長しています。
 宮崎駿のアニメは、「正義と悪」の呪縛にとらわれていません。

 いま日本が直面している社会の進化は、「正義と悪」という
ステレオタイプの思考パターンから抜け出し、意見の違う人
達がお互いに尊重し合い、共存できる社会へ向かっています。
 まだしばらく過渡期が続きそうですが、新しい年を迎えるに
あたって、次の社会に向かう希望あふれる道を、皆さまと
ともに歩んでいきたいと思います。





 さて、以下はお知らせです。


1.大阪で心力教室を開いているPLAでの
天外の講演会と天外塾
 
講演会 2013年1月12日(土)、7月27日(土)

天外塾 2013年10月25日、11月22日、12月20日
    2014年 1月24日、2月27日、3月28日
    (いずれも金曜日) 

インフォメーションは下記の無料メルマガより発信される予定。
http://www.tengeshiroh.com/

こちらの主催は、㈱office JKではなく、

PLA株式会社

〒553-0001
大阪市福島区海老江2丁目1-31 青山ビル7F
TEL:06-4798-0213 / FAX:06-4798-0210
フリーダイヤル:0120-50-3601
http://pla-samurai.jp/index.html


2.2013年度札幌天外塾

日程は、2013年4月5日、5月10日、6月7日、
7月5日、8月2日、9月6日の全6回(いずれも金曜日)。


 こちらの主催は、㈱office JKではなく、

太田綜合法律事務所(元塾生)。

詳細情報、お申込みは下記。

【申込み窓口】
 
太田綜合法律事務所    担当者 森祥子
http://oota-law.com/tenge-page.html
 
 お問い合わせメール: tenge.sap@gmail.com

  札幌市中央区大通西4丁目道銀ビル7階 
  電話011-222-3251 FAX011-222-5127


3.天外塾 現在募集中のセミナー

① ネッツトヨタ南国、横田英毅さんによる特別セミナー5期生 
(残席わずか)

――「人が育つマネジメント」――

第1講2013年1月25日(金)

「一番大切なことは何か」
――成功する秘訣は問題を発見して解決すること――

第2講2013年2月22日(金)

「戦略としての人材開発」
――できない理由を探さない集団の実現に向けて――

第3講2013年3月22日(金)

「人が輝く人間性尊重の組織づくり」
――働く喜びと人間力――


②  未来工業の山田昭男さんの特別セミナー3期生

――「未来工業に学ぶ『 従業員が主役! 』のマネジメント」――

 第1講 2013年4月26日(金)
「ホウレンソウは糞喰らえ!」

第2講 2013年5月31日(金)
「常に考える。なぜ!なぜ!なぜ」

 第3講 2013年6月28日(金)
「ケチケチ主義、でもドーンと気前よく!」


③  「フロー体験」に接地するための
インナーチャイルド・ワーク

 第1講 2013年2月15日(金)
(楽しい体験・つらい体験の瞑想)

 第2講 2013年3月15日(金)
(フォーカシング瞑想)

 第3講 2013年4月19日(金)
(インナーチャイルド・ワーク)

 これは、「フロー」に入るための自己改造ワークです。
「フロー経営」を実行したり指導したりするためには、
まず自分自身がしっかりと「フロー体験」をしていなければいけません。
しかしながら、多くの人が幼少期のつらい体験を通じて
情動に蓋をしてしまい「フロー」に入れなくなっています。
このワークショップは、幼児期に遡ってそれを解消します。

天外塾2009年以降の卒業生のみが対象です。

④  親子の葛藤を解消するワーク

第1講 2013年5月24日(金)(親殺しの瞑想)

第2講 2013年6月21日(金)(感謝の瞑想)

第3講 2013年7月19日(金)(リバーシング・ワーク)

 多くの人の多くのトラブルの底に、
じつは「親子の葛藤」が潜んでいます。
それに対する的確なアプローチにより、
人生は見違えるように変わります。
後継者問題に悩んでおられる方にもお薦めです。
天外塾2009年以降の卒業生のみが対象です。


⑤ 経営者のための運力強化ワーク

第1講 2013年9月20日(金)(「死」と直面するワーク)

第2講 2013年10月18日(金)(ハイア―セルフと出会うワーク)

第3講 2013年11月15日(金)(「感謝の祈り」のワーク)

 これ は、去年から始めている「運力強化」のためのセミナーです。
社内手続きのために「経営」という言葉を入れてくれ、
というご要望が多かったので、タイトルを変えました。
 名経営者と言われるような人は、往々にして大病を経験しています。
それは偶然ではなく、大病により死と直面し
「意識の変容」を起こすからです。 
このワークショップは、大病にならずとも
同様な「意識の変容」へ向かう方向性を持っています。
できれば毎年の受講をお薦めします。
   
 天外塾2009年以降の卒業生のみが対象です。

⑥ 天外塾は、2013年後期生を募集中です。

日程は、2013年10月11日、11月8日、12月13日、
2014年1月10日、2月7日、3月7日の全6回(いずれも金曜日)。


 いずれも場所は東京、六本木の国際文化会館です。
 
上記、6つのセミナーの「お申込みフォーム」です。
http://www.officejk.jp/category/1327009.html


4.天外塾 すでに満席のセミナー
(キャンセル待ちは受け付けています)

① 天外塾、2013年度前期生。

日程は、2013年4月5日、5月17日、6月14日、
7月12日、8月9日、9月13日の全6回(いずれも金曜日)。


5.天外塾 現在開講中のセミナー

① 天外塾、2012年度後期生。
  
日程は、2012年10月5日、11月2日、12月7日、
2013年1月11日、2月8日、3月8日の全6回(いずれも金曜日)

天外塾の詳細、お問合せは下記。
http://www.officejk.jp/
officejk@onyx.ocn.ne.jp



6.その他の天外の講演会

① 札幌での講演会(その1)

日時 :2013年1月26日(土)
     13:00開場 13:30開演

タイトル:フロー人生、フロー経営の奇跡

会場:札幌パークホテル
     札幌市中央区南10条西3丁目
     TEL011-511-3131

チケット ¥3,000円

お問い合わせ・お申込は

弁護士法人太田・小幡綜合法律事務所
TEL011-222-3251(担当:森)まで!


② 札幌での講演会(その2)

日時:2013年1月27日(日)10:00~18:00  

会場:ホテル ロイトン札幌 

〒060-0001  北海道札幌市中央区北1条西11-1
TEL : 011-271-2711

セミナー名:ホロトロピック・ネットワーク札幌、
国際和合医療学会共催セミナー

「北海道健康づくり宣言」

講演

10:00「北海道健康づくり宣言」 西谷雅史(響きの杜クリニック院長)

11:20「食と免疫」 白畑實隆(九州大学教授)     

13:30「ホロトロピック・ムーブメントのこれから」 天外伺朗
        (作家・ホロトロピック・ネットワーク主宰)  

14:50「和合医療の目指すもの」 陰山康成
      (国際和合医療学会常任理事・高輪クリニック理事長)

16:10 パネルディスカッション「北海道のこれから」
   ゲスト:石澤匠(高輪クリニック匠院長)
       秋田真元(真言密教阿闍梨)

お申込み:響きの杜クリニック
(電話: 011-632-8331、FAX: 011-632-8331 )

  e-mail: hibiki.no.mori@gmail.com



③ プロジェクト・マネジメント学会春季大会 

日時:3月13日(水) 15:30

場所:東洋大学白山キャンパス 5号館
 
基調講演:
「フロー経営」のすすめ-プロジェクトマネジメントに奇跡をおこす-

④ ホロトロピック・ワールド2013

日時:3月17日(日)10:00-18:00

大会タイトル:「All You Need Is Love 、Again〜愛こそ、すべて2013〜」

天外講演タイトル:「無分別智」を生きる

他の講演者:星川淳さん、田口ランディさん、保江邦夫さん
ピアノソロ:ウォン・ウィンツァンさん
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以上


天外伺朗
(どうぞご自由に転送、引用して下さい)
http://www.officejk.jp
officejk@onyx.ocn.ne.jp

*****************
転載ここまで。

0コメント

  • 1000 / 1000