地域の活性化に挑む


4月に入ってから新しい仕事が加わり、
暫くの間、落ち着かない日々を過ごしていたことから、ブログの更新も間が空いてしまいました。

今、私が働きに来ている街の市長が、
地域の活性化を促進するために、
民間の知恵やノウハウが活かせる観光、文化、経済の分野を中心に、
全国でも珍しい試みとして、公と民とが協働して政策立案や事業を行う新しい組織を作ると宣言しました。

それを受けて、地元の商工会議所やNPO,企業等が連携して、
大手旅行代理店、金融機関、イベントプロデューサー、
経営コンサルタント、事業プランナーらが参加する一つの組織が編成され、
私もその一員として加わる事となりました。

そして早速に、市の観光イベントや中心市街地活性化、
公園などの公共空間のデザインや整備方針の策定、
全国への市のPR政策の策定などの数々の市の事業について、
その支援を行ったり、一部を受託するなどして公と民の協働作業がスタートしています。

この組織の理念、ビジョンについて私が作らせて頂きましたが、
その時に一番大事にした点は、“地域の活性化”とは一体何かということでした。

“地域の活性化”とは何を意味するのかといった場合、
観光、文化、経済の観点から言うと、
普通は、観光の活性化といえば観光客が多く来ること、
文化の活性化といえば文化活動が盛んになること、
経済の活性化といえば景気が良くなることを意味しています。
行政の中においては、観光、文化、経済をそれぞれに担当する部課があって、別個にそれらを担当しています。

しかし、単に観光客が増えれば良いというものではありません。
お金を使って有名演奏家の演奏会や美術展を開けば良いというものでもありません。
大手ショッピングセンターができたとしても、それだけで市民の暮らしが潤うものでもありません。

市民にとって本当に大事なことは、
その地に住む人とその地に何らかの形で関わる人々全てが、
日々の暮らしや活動の中で、
心身ともに活き活きとした毎日を送り、
生きる喜びと幸せとを実感できる健全で豊かな地域社会が実現されることです。
これは、様々な分野が有機的に繋がってはじめて実現できることです。
その為には、分野別に専門分化した縦割り行政では、
全体を見通すことが難しく、
中途半端なことになってしまっていたり、
市民の暮らしにとって役に立っていなかったりする場合も少なくありません。

新しい組織に求められることは、
そういった行政のもつ避けられない課題を補完できるように、
全体を見渡すホリスティックな視点を持ち、
また、仕事が市民生活の質的な向上に着実に結び付くようにしなければなりません。

新しい組織の発足にあたっては、
その横断的かつホリスティック、そしてエコロジカルな視点を欠かさないために、
あえて行政で使っている区割りの用語を用いずに、
まずは地域の「活性化」とは何かについて再定義した指針を作成することにしました。

新しい組織においての全ての活動は、
この指針の実現に結び付くものでなければならないこととなっています。
何か判断しなければならない時の基準となります。

その指針とは以下のとおりです。

“活性化の5つの指針”
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1)人と人、人と自然の、質の高い豊かな交流が増加していくこと

2)あらゆる層の人々の暮らしの中における楽しみが向上していくこと

3)市民/市外の人々を問わず、地域への親しみと誇りが増していくこと

4)多様性に満ちた、安定度と循環度の高い地域経済の実現につながること

5)地域の皆に開かれた変化へのチャンスと刺激とを創り出していくこと

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既にこの組織は立ち上がり、活動を始めています。
活動を始めて感じるのは、
ここの市役所は八ヶ岳のある北杜市とは違い、
数千人規模のかなり大きな行政組織ということもあって、
企業でいう、大企業病が顕著なことです。
もちろん、とても熱心に前向きに働いている職員も少なくありません。
しかし、組織のなかで、その力が発揮できていません。

地域行政のレベルアップは、これからの地方分権、ローカリゼーションの流れのなかで、極めて重要なポイントとなるでしょう。
今のままでは地方分権しても、十分に地方は機能しないでしょう。

そのような組織と協働を行う私たちの新しい組織自体も、まだ必ずしも盤石ではありません。
前途はまだまだ多難が予想されますが、良い方向にもっていければと思っています。

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