2009.04.28 03:40変化していく社会、開けゆく未来ちょっと気になるニュースがありました。午前中のニュースで、クライスラー社と全米自動車労組(UAW)との間で、クライスラー社が経営再建に成功した場合には、全米自動車労組が同社の株式の55%を取得して筆頭株主になり、取締役も派遣するという労働協約に基本的に合意したと報道されました。これは、クライスラーが、退職者の医療保険制度を維持するための全米自動車労組の基金に対して支払い義務を負っている106億ドル(約1兆円)の半分以上を株式の現物支払いのかたちで行う結果です。多くの方は、クライスラーも大変なことになったなと思われるかもしれませんが、私としては、現実が未来の姿に変容する過程を見ているようで、何だかわくわくするニュースです。先日のThe e4 Declar...
2009.04.27 23:55【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その3人間社会で自己組織が起こる条件その2では、自然界の自己組織化について、それが新しい社会の一つの基本になる可能性について書きました。それが人間社会において起こりえるのかどうか、起こるとしたらその条件とは何かということが、今回のテーマです。自己組織化の本質は「協調」にあります。今回のテーマを、“協調的組織”作りのための条件、と言い換えることも可能です。ただし、ここで一つおことわりしておきますが、人間社会にも自己組織化が・・・といっても、学問の世界でいう厳密な意味での、決定論的な自己組織化が起こるかということを、述べているわけではありません。生物の世界で起こっている自己組織化をメタファーとして、そのメリットが活かされる組織づくりが可能かどうかと言うことです。...
2009.04.26 04:06Appalachian Spring ~ アパラチアの春八ヶ岳は4月に入ってから、暖かくなったり、寒くなったりを繰り返し、昨日から今朝にかけては、ミゾレまじりの雨が降り、ストーブをたいていました。しかし、草木はぐんぐんと緑を増してきて、様々な花が咲き、にわかに八ヶ岳は賑やかになってきています。さて、八ヶ岳にいると、音楽はほとんど聴きません。聴きたくなくなるのです。静寂と自然の音に囲まれているほうが、はるかに幸せなのです。不思議なのは、街にでると、逆に、音楽が必要になってきます。四角い建物に囲まれ、人工の音の中ですごしていると、音楽がどうしても恋しくなってきます。今の時期、最も好きなのは、コープランドの「アパラチアの春」。八ヶ岳の今の風景を表現するには、この曲が一番ふさわしいかもしれません。この曲に最初に出会...
2009.04.23 13:36【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その2自己組織化生命の自己組織化とは、生命自身が、自らを形成し、それを維持、自己管理していくことです。自己組織化という言葉は、生命だけに使われるものではありません。単なる物質の世界でも起こります。物質の世界で起こる自己組織化の様子は、まるで生物が活動しているかのような、活き活きとしたものです。YOUTUBEを探したら、自己組織化の実験の映像がいろいろ出てきました。自己組織化を心にイメージするのに、そういった映像はとても役に立ちます。中でも、結構楽しめるものをご紹介します。1) Belousov-Zhabotinsky reactionhttp://www.youtube.com/watch?v=bH6bRt4XJcwこれは自己組織化の現象を、世界の研究家が注...
2009.04.23 03:40ちよっと寄り道今週は、生命システム、自然生態系に沿った新しい社会について書く予定ですが、今朝のニュースを見て、いくつか書き留めておきたいことが出来たので、ちょっと寄り道させていただきます。まずひとつめは、アメリカのホワイトハウスが発表した今朝の声明。環境活動家や環境に関心のある人々の間で支えられてきた、毎年4月22日に行われる環境イベント“The Earth Day”に対して、オバマ大統領が自ら声明文を発表し、より環境を重視した社会の形成の推進を訴えました。かつて、環境活動家やエコロジストは、どちらかというと社会の亜流でしたが、もはやその観念は早々に捨てた方がよさそうです。とても嬉しい変化です。もうひとつは、小学校に学級委員が復活したニュースです。というより、22年...
2009.04.22 04:04【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その1地球生命系に関する新しい研究によって、次々にその特徴がわかってきました。その特長にこそ、私たちが地球生命系と共生できる新たな社会づくりのための、大事なヒントが含まれていると言われています。その生命の智恵とは一体どのようなものなのでしょうか。これまでの生物学の主流は、世界はあたかも機械のように出来ていて、それらを細かに分析していけば、世界は把握できるというものでした。これを機械論的な観察などと呼びますが、極めて複雑な世界を、個別な分析だけによって観察しても、それは、例えて言うならば、複雑な立体のある一部分だけを観察したにすぎず、かなり偏った一面的な理解にならざるを得ません。そのために、今の環境問題や健康問題など、様々な問題を引き起こした原因にもなっている...
2009.04.21 04:18変化の大波を捕らえて先日のThe e4 Declarationの中でも、その根本となる8つの理念の内容は、自然界のしくみと共通するものであり、第八の理念のように、実に美しくてエレガントだと思います。常に心にとどめておいて、自分達の行う仕事や社会活動が、それに沿っているのかどうかを確認する、ひとつのチェックリストになると思います。実は10年ほど前に、いま寄せてきている変化の大波を予想して、すでに同じような提言をまとめていた人がいます。世界的に知られる新しい社会・経済の研究家の、デビッド・コーテンさんです。この方は、奇遇な縁でシューマッハカレッジと深いつながりがあります。彼が国際線の飛行機に乗ったときに、偶然に中国系の女性と隣り合わせになりました。その女性が挨拶がてら手渡して...
2009.04.17 03:37Glimpses of the Future ~ 未来社会を垣間見る前回の記事でThe e4 Declarationの8つの基本理念についてご紹介しました。今回は、提言が基本理念に基づいてどのような未来社会を考えているのか、原文を元に、若干の補足をしながらご紹介したいと思います。(Ⅰ)Food and Agriculture ~ 食と農業食物は高い栄養価のある質の高いものであり、かつ、美味しいものでなければなりません。そして、それを世界中の皆が享受できることが必要です。そのためには、以下を基本とする新たな農業のあり方を実現しなくてはなりません。1)農業は基本的に伝統に基づいたものが相応しいと考えます。しかし、単に昔に戻ることではなく、必要に応じて優れた科学を用いながら伝統的な技術を再構築したり、労働負荷を軽減するために...
2009.04.15 07:17The e4 Declaration ~ 地球規模の社会変革への提言昨年の11月に、シューマッハカレッジに、サティシュ・クマールやブライアン・グッドウィンをはじめとして、オルターナティブな経済学者、社会活動家、国際的なNPO、NGO関係者が集まって、今後の社会、経済についての会議が開かれました。その会議で出された提言が、“The e4 Declaration”としてHPで発表されています。その参加者の一部にインタビューしたビデオもあります。ちなみにe4とは、ecology, economy, equity, ethics,といった、今日の重要な課題となっている4つのeからとっています。残念ながら提言の文章は、まだ十分に推敲されたものとは言えません。従って、それを読んだだけでは多くの方にとって、何を言いたいのか分からない...
2009.04.13 05:42有機野菜と自然農日曜日は、朝から畑の作業を行いました。お世話になっている整体の先生が、一反ばかりの自然農の畑を持っておられ、その一部をお借りしての野菜づくりです。自然農は不耕起、無肥料、無化学農薬を基本にし、雑草は野菜の生育に邪魔にならない最小限だけを刈り、あとは自然のままに残していくものです。一面、野原のような感じですが、その中に、野菜が植わっています。整体の先生は、流石に長年されておられるだけあって、鎌だけをもって、畑のあちこちをひょいひょい移動しながら、野菜や果物の世話をされています。今回私が植えたのはブロッコリー、カリフラワー、ジャガイモ。本当であれば、植えるものも、地域の生態系に合った、伝統の在来種であるべきなのですが、今回はそこまで手が回らず、ホームセンタ...
2009.04.10 04:03八ヶ岳スーパートレイル八ヶ岳スーパートレイルという、八ヶ岳をまるまる一周する、歩く人だけのための長大な遊歩道の整備が進みつつあります。南麓側では、富士見町、小淵沢、大泉、清里の、標高1300メートル付近を縦断するようです。八ヶ岳も車時代になって、散歩しようと思っても、細い道を車がスピードを出して行きかいます。この歩く人だけのための八ヶ岳スーパートレイルは、車を気にすることなく、存分に自然を満喫できる道となることでしょう。世界各地に、歩く旅をするひとのための小道、FOOTPASSが点在していますが、イギリスのデボン州、コーンウォール州をまたぐ、美しい海岸線とダートムーアなどの国立公園を一周するFOOTPASSは、実に美しく、また、イギリスの古代から現代までを体験できる道です。...
2009.04.09 06:17何を頼りに生きるのか一人の人間として、仕事を通じていろいろなことに関わり、また、生活のうえで様々な場面に遭遇し、そこでいろいろな判断をしなければなりませんが、そのときに、私たちは何を頼りにするでしょう。私はもちろん、全ての人にとって、それは、一生涯にわたって追い求めるものかもしれません。ただ、その過程で一つ言える事は、その判断の源になるところは、食べることにしても、医学にしても、農業、教育、子育て、芸術、宗教、科学も、そして日々の暮らし方や、社会のあり方も、全てある一点に限りなく収斂していくこと。それを、ディープエコロジーのアルニ・ネスさんは、エコロジカル・プラットフォームと呼び、天外伺朗さんは、ディープ・グラウンディングと呼ばれています。また、ある方は「普遍意識」とも呼...